20081008 日本経済新聞 朝刊

 舛添要一厚生労働相は七日、七十五歳以上を対象とする後期高齢者医療制度の見直しについて私案を明らかにした。同制度と国民健康保険を年齢にかかわらず一体化し、都道府県単位に再編。財政面では健康保険組合など被用者保険からの支援とともに「福祉目的税」導入の必要性にも言及した。ただ、具体的方策を巡っては課題も多く、議論の方向性は不透明だ。
 同日開いた厚労相直属の「高齢者医療制度に関する検討会」(塩川正十郎座長)で「議論のためのたたき台」として提示した。現行の制度は高齢者を七十五歳以上で一律に区分して別建ての制度としている。こうした年齢による線引きに反発が強いことから、国民健康保険に組み込むことにした。被用者保険に加入している人は、引き続き加入できるようにする。
 財源については「税の比率を増やさざるを得ない。福祉目的税でもってきてはどうか」と述べた。
 私案は厚労相が示してきた(1)年齢だけによる区分をやめる(2)年金からの保険料の天引きを強制しない(3)世代間の反目を助長しない――という三点に沿ったもの。あくまで私案で、厚生労働省の正式な案ではない。
 会合では賛否両論が続出。年齢に関しては「七十五歳で区切るべきではない」と同調する声があった一方、「どこかで区切らざるを得ない」「年金受給が始まる六十五歳を区切りとしては」との意見も出た。
 運営を都道府県単位とすることに関しては「医療保険の運営をしたことがない都道府県には、保険料徴収などのノウハウがない」との指摘も複数あり、現時点では検討会内部でも意見のばらつきが大きい。
 制度の一体化や被用者保険からの財政支援は、高齢者に限らず医療保険制度全体の問題となる。厚労相私案では財政支援の仕組みが大まかにしか示されておらず、具体化に向けて大きな課題となりそうだ。都道府県単位での運営には都道府県からの反発も予想される。
 厚労相が「私案」を相次ぎ公表して制度見直しを急ぐ背景には、「選挙対策」を意識した色彩も強い。十五日には新たに保険料の年金天引きが始まる高齢者もいるため、批判の矛先をかわす狙いもあるとみられる。

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