20081009 日本経済新聞 朝刊
六十五歳以上の介護保険料は三年に一回、各市町村別に介護給付費の伸びを推計して見直される。介護給付費の伸びは、(1)高齢者数増(2)利用率増(高齢者の加齢による利用率増と、それ以外による利用率増)(3)利用者一人当たりの利用額増――に分解できる。
二〇〇五年までは利用率増(特に軽度者)が給付費増の主因で、むしろ利用単価は下がっていた。〇六年以降は軽度者の利用が抑制されて利用率増はほぼゼロで、むしろ利用単価の伸びが給付を押し上げている。自然増は高齢者数で年間三―四%、高齢者の加齢による利用率増によるものが〇―一%程度である。仮に給付額を自然増に抑え込めても負担は三―五%程度増える。消費税を社会保障目的税化する議論があるが、これは税率固定なら社会保障費を消費税収の伸び、すなわち名目経済成長率(〇〇年以降、マイナス一・三―プラス一・六%)の範囲に抑えることを意味し、厳しい抑制が必要になる。
一方、高齢者が負担する介護保険料は一人当たりの給付額に比例するため、自然増は〇―一%程度にとどまる。現在、保険料は全国平均月額で四千九十円。自然増だけなら三年間で三%弱、百円程度の増加ですむ。
〇六―〇八年度は市町村・国の予想以上に利用が抑制され、保険料が想定より約一〇%過大となっている。利用率増を抑制できれば、利用単価が年間二%以上上がっても現行の保険料率のままで〇九年度改正で介護報酬を三%上げられる。
現在、次期改正に向け介護報酬の議論が進められ、都市部の人材確保などが論点になっている。また、在宅生活を続けながら利用者本位のサービスをするには小規模施設・事業所が有効で、小規模でも経営できる仕組みが求められる。財源論だけでなく、制度の使命を明確にした議論が必要だ。介護保険は負担と給付の結びつきを最も強く意識できる社会制度だが、負担増は嫌だがサービスも減らしたくないという意見は依然強く、方向性が定めにくいのが現状だ。
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