20080920 日本経済新聞 朝刊
舛添要一厚生労働相が打ち出した「後期高齢者医療制度に代わる新しい制度」は、高齢者を若い世代から切り離して独自の医療保障をする政府方針の転換を意味する。ただ、実現性は衆院選の結果など今後の政治情勢が左右する。企業の健康保険組合の負担増など制度の持続性に関する課題も抱える。(1面参照)
高齢者は病気にかかるリスクが高い。加えて市町村と企業など現役世代の医療保険者の間で利害の対立がある。高齢者を切り離して別制度にすることには一定の合理性があるとの見方が多い。
厚労相案は、会社員の医療費の面倒を引退後も健保組合がみることで、増大する医療費の負担を被用者保険にしわ寄せすることにつながりかねない。
二〇〇八年度に約九割の健保組合が赤字に陥るとみられるなかで、拠出金に加えて負担増となれば耐えられない健保は増える。始まった制度を早々に転換すれば、混乱も避けられない。
厚労相は自民党総裁就任が確実となっている麻生太郎幹事長に案を伝え、了承を得たとしている。幹事長周辺も十九日、政策の目玉の一つとして、後期高齢者医療制度の凍結を考えていることを明らかにした。ただ制度の廃止には踏み込まないとの見通しを示し、行方には不透明な要素が多い。
(編集委員 奥村茂三郎)
舛添要一厚生労働相が打ち出した「後期高齢者医療制度に代わる新しい制度」は、高齢者を若い世代から切り離して独自の医療保障をする政府方針の転換を意味する。ただ、実現性は衆院選の結果など今後の政治情勢が左右する。企業の健康保険組合の負担増など制度の持続性に関する課題も抱える。(1面参照)
高齢者は病気にかかるリスクが高い。加えて市町村と企業など現役世代の医療保険者の間で利害の対立がある。高齢者を切り離して別制度にすることには一定の合理性があるとの見方が多い。
厚労相案は、会社員の医療費の面倒を引退後も健保組合がみることで、増大する医療費の負担を被用者保険にしわ寄せすることにつながりかねない。
二〇〇八年度に約九割の健保組合が赤字に陥るとみられるなかで、拠出金に加えて負担増となれば耐えられない健保は増える。始まった制度を早々に転換すれば、混乱も避けられない。
厚労相は自民党総裁就任が確実となっている麻生太郎幹事長に案を伝え、了承を得たとしている。幹事長周辺も十九日、政策の目玉の一つとして、後期高齢者医療制度の凍結を考えていることを明らかにした。ただ制度の廃止には踏み込まないとの見通しを示し、行方には不透明な要素が多い。
(編集委員 奥村茂三郎)
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