20080919 日本経済新聞 朝刊

為替 荒れる相場、FX動揺
 米国の金融危機の個人生活への影響は、幅広い分野に及びそうだ。
 【株式市場】株式相場の低迷は個人投資家を直撃。インターネット証券大手の松井証券によると、証券会社からお金を借りて株を買う投資家の含み損が十八日、平均で取得価格の三割近くまで広がった。
 運用開始時に決めた株価水準を下回らない限り、元本が保証されるタイプの「リスク限定型投信」にも影響が出ている。安定志向の個人投資家に人気が高いが、予想外の株安で「想定株価を下回ったファンドがほぼ半年ぶりに発生した」(中央三井アセットマネジメント)という。
 鈴木茂晴・大和証券グループ本社社長は十八日、「暴風雨が続いている。一年くらいは厳しい環境が続くのではないか」と述べた。
 【外国為替証拠金取引(FX)】米金融危機でドルが急落し「差し入れた担保を上回る損失を抱えた投資家がこのところ過去最高に達している」(中堅のFX金融会社)。オーストラリアなど資源国の通貨も下がり、高金利を求めてドルや豪ドルを買っていた個人投資家が打撃を受けている。
 【投資にブレーキ】貯蓄から投資への動きは一時的に停滞しそうだ。日銀によると、七月の定期預金残高は前年同月比六%増の約二百四十六兆円。投資信託への資金流入が細っているのと対照的に、定期預金は六年五カ月ぶりの水準まで積み上がっている。
 金融危機がこうした傾向に拍車をかけ、個人マネーが一層、定期預金などに向かう可能性がある。
 【住宅ローン】縮み志向のマネーは住宅ローン金利を押し下げるかもしれない。安全資産の国債へのシフトが強まれば長期金利は低下する。銀行は一般的に、市場金利の動向に合わせて毎月の住宅ローン金利を変更している。九月の長期金利が低下した場合、月末に各行が発表する住宅ローン金利(十月適用分)も低下する見通しだ。
 【個人消費・景気への影響】個人消費の先行きも懸念される。すでに世界経済の減速から、成長のけん引役だった輸出には陰りが生じている。企業は輸出の減少から生産、設備投資を抑え始めており、日本経済は停滞感が目立つ。
 心理の冷え込みが実体経済を下押しするまでには一定の時間がかかるとはいえ、市場の混乱が長引けば家計を萎縮させ、消費に逆風となる公算が大きい。
【図・写真】大幅に下落した日経平均株価(18日、東京都中央区)


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