20080918 日本経済新聞 朝刊

売却なら争奪戦も
 米AIGが再建加速へ事業リストラに動き出した場合、アリコジャパンなど日本の保険各社の行方が焦点になる。五〇%以上出資する六社合計の保険料収入は年間約二兆五千億円と、国内保険五位の住友生命保険に迫り、各社の経営も健全だ。売却なら、大手生命保険、損害保険の間で争奪戦になる可能性もある。
 日本で最も存在感があるのは生保事業。なかでもアリコは業界五位。「てごろでがっちり入院保険」など医療保険のテレビコマーシャルが有名で、営業員、代理店、直販と多様な販売網を持つ。AIGエジソン生命とAIGスター生命は日本の金融危機時に破綻した中堅生保を買収したものだ。それぞれ旧東邦生命、旧千代田生命だった。破綻時に不採算の逆ざや契約を切ったため、資産内容は良いとされる。
 損保では、代理店を通さずに自動車保険や医療保険を販売するアメリカンホーム保険と、代理店販売中心のAIU保険が中核。JTBとの合弁で旅行保険を売るジェイアイ傷害火災や、二三%出資する損保七位の富士火災海上保険もある。
 日本事業の保険契約者は生損保合計で一千万人超。従業員数も二万六千人を抱え、外資系金融では最大規模だ。生保三社のコールセンターがある長崎市には二千四百人いる。雇用も大きい。
 生保だけでみると全世界の保険料収入の約二五%を日本が稼ぐなど米AIGにとって日本事業は大きな要だ。米政府が、高く売れるから再建加速へ手放すのか、高収益だからこそ将来を考えて残すのかはまだ不明。「全世界での一括売却の可能性を探り、難しければ国・地域ごとに売却を進めるのではないか」とある生保幹部は予想する。


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