20080912 日本経済新聞 朝刊

 個人や企業の賠償リスクをカバーする損害保険の新商品が相次いで登場している。東京海上日動火災保険は特定健診・保健指導制度(通称メタボ健診)がらみのトラブルに備えた賠償責任保険を発売。AIU保険は派遣社員の不祥事を想定した賠償責任保険を十月から売り出す。身近な問題が損害賠償に発展するケースが増えており、品ぞろえの拡大に動く。
 東京海上日動は四月にメタボ健診制度が始まったのを受け、新型の賠償責任保険を発売した。
 健診を実施する健康保険組合や健診代行業者が対象。適切な指導や治療を受けられずに健康を損ねた人や、保健師の指示で運動してケガをした人が損害補償を求めた場合、健保組合などに保険金を支払う。
 AIUの商品は人材派遣会社向け。派遣社員が機密漏洩(ろうえい)や横領などの不祥事を派遣先で起こし、人材派遣会社が損害賠償を求められたときに保険金を出す。損害保険ジャパンも同様の保険を六月に発売し、既に四十件程度の契約を結んだという。
 中堅のエース損害保険(東京・目黒)は六月、企業のM&A(合併・買収)がらみのリスクを補償する特約を役員賠償責任保険につけた。買収先企業の税務処理に不正があった際に発生する追徴税を補償する。
 日本でも米国のような「訴訟社会」化が進み、賠償責任保険の需要が増えている。二〇〇七年度の市場規模は四千三百億円(元受正味保険料ベース)で、過去五年間で約三割増えた。「消費者保護に軸足を置いた法整備が進んでおり、市場規模は拡大を続ける」(関係者)見通しだ。
 一方、国内大手損保の主力商品である自動車保険や火災保険は、国内需要の低迷でこのところ減少傾向が続いている。各社は賠償責任保険を数少ない成長市場と位置づけ、品ぞろえの拡充や販路の拡大を目指す。
 ただ賠償責任保険はリスクの算定が難しく、想定を超える保険金支払いが発生するケースも少なくない。リスク算定の精度をどう高めるかが今後の課題になりそうだ。






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