20080908 日本経済新聞 夕刊
ライフプランを考える時に、欠かせないのが年金の知識です。それぞれの人が受け取る年金は、職業や立場によって異なり、その額にもばらつきがあります。年金シリーズの初回では制度の全体像を紹介します。最近話題の年金問題を考えるためにも、どんな年金があり、自分がどの年金に加入しているかを、よく理解するようにしましょう。
年金にはいくつか種類がありますが、大別すると、国が運営する公的年金と、私的年金に分かれます。
日本の公的年金制度は「二十歳以上六十歳未満の日本国内に住む人」全員が加入し(1)基礎的な給付を受ける国民年金(基礎年金)(2)これに上乗せして現役時代の報酬に比例する年金を受け取る厚生年金と共済年金――とからなります。
一般に国民年金のことを「一階部分」、厚生年金や共済年金などを「二階部分」、さらに厚生年金基金など加入すると公的年金に上乗せして年金を受け取れる私的年金を「三階部分」と呼びます(図参照)。
公的年金の特徴は「世代間扶養」です。国が働く現役世代から保険料を集め、それをもとに高齢者に年金を給付して生活を支える仕組みです。世代間扶養は、高齢者が老後の長さや物価水準の変動など予測のつかないリスクに備えられるという長所があります。一方で、現代の日本のように高齢化などの人口構造の変化があると、支える世代の負担と高齢者への給付の見直しが必要になります。
それでは図を参考に、公的年金の仕組みをより詳しく見ましょう。一階部分の国民年金は国民全員が加入する年金です。専業主婦や職業に就いていない人も全員国民年金に加入します。収入がなく保険料の納付が難しい場合、条件が整えば納付の免除や猶予を受ける選択肢もあります。
これに対し二階部分は全員加入ではなく、勤め先によって加入先が異なります。国民年金の第二号被保険者(加入者)である会社員は厚生年金に、公務員は共済年金に加入することになります。自営業者や学生などの第一号、会社員や公務員の被扶養配偶者などの第三号は厚生年金や共済年金には入れません。ただし第一号被保険者は、国民年金の上乗せとして創設された国民年金基金には、任意で加入できます。
ファイナンシャルプランナーの後藤秀樹さんは「会社員は国民年金には加入していないと勘違いしやすい」と指摘します。会社員や公務員は、厚生年金や共済年金に加入すると同時に国民年金にも入り、その分の保険料も、天引きなどで納めていることを覚えておきましょう。
国民年金は原則、二十五年の受給資格期間がないと受け取れませんが、二階部分の厚生年金と共済年金については、国民年金をもらう条件を満たしていれば、加入期間に応じた年金をもらえます。会社員を辞めて自営業者になると厚生年金から国民年金のみの加入に変わりますが、厚生年金に一定期間加入していた記録は残るため、会社員時代に払った保険料がムダになる心配はありません。
「会社員の妻の年金の仕組みを知らない人が多い」(後藤さん)という指摘もあります。専業主婦である会社員や公務員の妻は、第三号被保険者として国民年金の加入者になります。この場合、会社や役所に勤める夫は給与支給時に保険料が天引きされますが、被扶養配偶者である妻は国民年金の保険料を納付する必要はありません。
一方、同じ国民年金に加入する自営業者や学生などの第一号被保険者は保険料を納めなければならず、この点が第一号と第三号の異なるポイントです。
第二号被保険者である夫が自営業者になるとどうでしょう。会社などを辞めた夫はこの時から第一号被保険者に変わり、国民年金のみの加入になります。妻は国民年金の加入者であることに変わりはありませんが、第三号被保険者から第一号被保険者に変わり、以降保険料の納付が必要になることに注意しましょう。
公的年金には、高齢になってからの生活保障をする老齢基礎年金のほか、ケガや病気による一定以上の障害を抱えた場合の「障害基礎年金」や、保険加入者が亡くなった際に遺族の生活保障を目的とする「遺族基礎年金」もあります。
万が一の事態に備えたこれらの年金も、保険料未納が続くなど、一定の納付条件を満たしていない場合は年金受給の権利を失うこともあります。特に国民年金のみの加入者は、給与から天引きされる会社員などとは異なり、保険料を自分で納める必要があります。その分未納も起こりやすく、自身でしっかり管理する心がけが大切です。
これらの保険料納付や年金受給についての内容は次回以降に勉強しましょう。(ライター 福島 由恵)
ライフプランを考える時に、欠かせないのが年金の知識です。それぞれの人が受け取る年金は、職業や立場によって異なり、その額にもばらつきがあります。年金シリーズの初回では制度の全体像を紹介します。最近話題の年金問題を考えるためにも、どんな年金があり、自分がどの年金に加入しているかを、よく理解するようにしましょう。
年金にはいくつか種類がありますが、大別すると、国が運営する公的年金と、私的年金に分かれます。
日本の公的年金制度は「二十歳以上六十歳未満の日本国内に住む人」全員が加入し(1)基礎的な給付を受ける国民年金(基礎年金)(2)これに上乗せして現役時代の報酬に比例する年金を受け取る厚生年金と共済年金――とからなります。
一般に国民年金のことを「一階部分」、厚生年金や共済年金などを「二階部分」、さらに厚生年金基金など加入すると公的年金に上乗せして年金を受け取れる私的年金を「三階部分」と呼びます(図参照)。
公的年金の特徴は「世代間扶養」です。国が働く現役世代から保険料を集め、それをもとに高齢者に年金を給付して生活を支える仕組みです。世代間扶養は、高齢者が老後の長さや物価水準の変動など予測のつかないリスクに備えられるという長所があります。一方で、現代の日本のように高齢化などの人口構造の変化があると、支える世代の負担と高齢者への給付の見直しが必要になります。
それでは図を参考に、公的年金の仕組みをより詳しく見ましょう。一階部分の国民年金は国民全員が加入する年金です。専業主婦や職業に就いていない人も全員国民年金に加入します。収入がなく保険料の納付が難しい場合、条件が整えば納付の免除や猶予を受ける選択肢もあります。
これに対し二階部分は全員加入ではなく、勤め先によって加入先が異なります。国民年金の第二号被保険者(加入者)である会社員は厚生年金に、公務員は共済年金に加入することになります。自営業者や学生などの第一号、会社員や公務員の被扶養配偶者などの第三号は厚生年金や共済年金には入れません。ただし第一号被保険者は、国民年金の上乗せとして創設された国民年金基金には、任意で加入できます。
ファイナンシャルプランナーの後藤秀樹さんは「会社員は国民年金には加入していないと勘違いしやすい」と指摘します。会社員や公務員は、厚生年金や共済年金に加入すると同時に国民年金にも入り、その分の保険料も、天引きなどで納めていることを覚えておきましょう。
国民年金は原則、二十五年の受給資格期間がないと受け取れませんが、二階部分の厚生年金と共済年金については、国民年金をもらう条件を満たしていれば、加入期間に応じた年金をもらえます。会社員を辞めて自営業者になると厚生年金から国民年金のみの加入に変わりますが、厚生年金に一定期間加入していた記録は残るため、会社員時代に払った保険料がムダになる心配はありません。
「会社員の妻の年金の仕組みを知らない人が多い」(後藤さん)という指摘もあります。専業主婦である会社員や公務員の妻は、第三号被保険者として国民年金の加入者になります。この場合、会社や役所に勤める夫は給与支給時に保険料が天引きされますが、被扶養配偶者である妻は国民年金の保険料を納付する必要はありません。
一方、同じ国民年金に加入する自営業者や学生などの第一号被保険者は保険料を納めなければならず、この点が第一号と第三号の異なるポイントです。
第二号被保険者である夫が自営業者になるとどうでしょう。会社などを辞めた夫はこの時から第一号被保険者に変わり、国民年金のみの加入になります。妻は国民年金の加入者であることに変わりはありませんが、第三号被保険者から第一号被保険者に変わり、以降保険料の納付が必要になることに注意しましょう。
公的年金には、高齢になってからの生活保障をする老齢基礎年金のほか、ケガや病気による一定以上の障害を抱えた場合の「障害基礎年金」や、保険加入者が亡くなった際に遺族の生活保障を目的とする「遺族基礎年金」もあります。
万が一の事態に備えたこれらの年金も、保険料未納が続くなど、一定の納付条件を満たしていない場合は年金受給の権利を失うこともあります。特に国民年金のみの加入者は、給与から天引きされる会社員などとは異なり、保険料を自分で納める必要があります。その分未納も起こりやすく、自身でしっかり管理する心がけが大切です。
これらの保険料納付や年金受給についての内容は次回以降に勉強しましょう。(ライター 福島 由恵)