20080905 日本経済新聞 地方経済面
神奈川県が小児医療費の助成制度を十月に改正することで市町村の負担額が膨らむ心配が浮上している。通院費助成の年齢上限を現行の三歳未満から小学校入学前まで引き上げるが、四歳以上については一定の自己負担を課す。多くの自治体は「住民の理解を得られない」と肩代わりする方針だ。厳しい財政下でどう住民サービスを維持するか頭を悩ませている。
現行の小児医療費は一定の年収制限があるが、原則三歳になるまで無料だ。受診者に県が基本的に市町村の規模に応じて三分の一から四分の一を負担、残りは市町村が助成している。新制度は助成を広げるものの四歳以上小学校入学前の児童の場合、通院費一回につき二百円、入院費一日につき百円を課す。
制度改正により県は年約十三億円を新たに負担し、市町村が負担する助成分が減るはずだった。
しかし市町村では独自の上乗せ助成計画が進む。藤沢市は来年四月から無料化の対象を小六まで引き上げる。平塚市は来年度からの引き上げを検討する。海老名市はすでに七月に対象を小学校入学前から小六に引き上げ、今年度は新たに一億五千六百万円の負担増になる。「充実した子育て環境をつくりたい」と狙いを説明する。
現時点で県の制度改正に合わせて住民に負担を課すのは湯河原町などごく一部。ある自治体は「たとえ二百円でも負担金が取れる状況ではない」と漏らす。多くの市町村は住民サービスを考慮して肩代わりする方針を示している。川崎市は今年度は市が負担を決め、来年以降は未定という。
県の制度改正は市町村の厳しい財政負担を軽くする目的だった。しかし財源は少ないため「安定的な制度維持のためには一部でも(住民に)負担してもらう必要がある」という結論だ。市町村にとって助成額は減るが、新たな住民負担を肩代わりすることで減額分が相殺されかねない。
------------------------------------------------