20080831 日本経済新聞 朝刊
中小企業庁は個人経営の事業主や零細企業が事業を引き継ぐ際、信託の枠組みで株式相続などの手続きを円滑に進める手法を後押しする。会社法などとの関係や活用方法を列挙した報告書をつくり、事業主や信託銀行に周知。二〇〇九年度税制改正要望で、非上場株式の評価額の八割を非課税にする「事業承継税制」の対象に信託財産を加えるよう求めた。
〇七年施行の改正信託法で、事業承継に信託を活用する仕組みができたが、信託をどう応用するかが分かりにくいとの指摘もある。会社法との関係などが十分に整理されず、既存の法体系に抵触する恐れがあるとみた信託銀行が商品展開に慎重姿勢を示していた。
このため中企庁は学識経験者、公認会計士、税理士などによる研究会の報告書を作成。事業承継を円滑に進める方法などの説明を強化した。
例えば、事業主が自社株式を生前で遺言信託しておけば、後継者は事業主が死亡した時に同時に株式を相続できるため、経営の空白期間を防げる。後継者に兄弟がいた場合も信託を使うと、株式の議決権行使の権利は後継者に一括集中できる。議決権の集中で一般的に必要な株主総会での特別決議や種類株式の発行は不要になるという。
議決権行使の権利だけを後継者に集中させる考え方をめぐっては「会社法上問題がある」との指摘も一部に出ていたが今回の報告書では「問題ない」との考え方を示した。
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