20080824 日本経済新聞 朝刊
「乳がんのしこりってどんな感じ」――。がん保険大手のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)が全国約六百カ所の来店型店舗に乳がんの「触診モデル」を設置している。研修医が使う教材として開発されたもので、乳房の中にできたしこりの感触をリアルに体験できる。
設置されているのは、シリコン製の左乳房の模型。病変部位は、肩関節に近い「外上部」、首側の「内上部」、腕に近い「外下部」、みぞおち側の「内下部」の四カ所に設定している。
元々は研修医ら医療従事者のトレーニング用に一点ずつ手作りされる医療用機器。人体で触診した場合とほぼ同じ違和感があるが、しこりの場所が分かっていても、実際に探り当てるのはなかなか難しい。
店頭のモデルを触ったことがきっかけで診察を受け、がんが見つかった人もいるという。アフラック個人アソシエイツ推進課の吉沢恵子さんは「店舗を保険販売だけでなく、がんの啓発ステーションにもしていきたい」と話す。
日本人女性の三人に一人は一生の間にがんにかかるとされる。女性で最も発生率が高いのが乳がんで、がんによる死亡数では大腸、胃、肺がんに次ぐ四位。早期に見付ければ、ほかのがんよりも治りやすいとされ、手術以外に、抗がん剤や放射線など治療方法の進歩も著しい。しかし自治体が実施する乳がん検診の受診率は一七・六%(二〇〇五年度)で欧米諸国に比べると低い。
同社広報部は「自分で触って見つけられる唯一のがん。早期治療で治る可能性も高い。販売窓口に触診モデルを設置することで、日常的な自己検診につながれば」としている。
【図・写真】しこりの場所が分かっていても、探り当てるのは難しい(東京都新宿区のアフラックの店舗)
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