20080820 日経MJ(流通新聞)

 子供を育てながら働く女性が増える中、そうした女性たちの消費動向が注目されている。本社産業地域研究所の調査では、子育て中の女性にはストレスの高さが目立っており、スイーツを食べながらの会話などコミュニケーション型消費がストレス解消に有効ということがわかった。子育て中も働く女性では旅行需要が活発なほか、省力化家電のニーズも高く、消費に積極的な様子がうかがえた。(詳細は「日経消費マイニング」8月号に)
 調査は、首都圏と近畿圏の二十―六十代の男女に郵送で聞いた「全体調査」と、首都圏の二十五―四十五歳の女性にインターネットで聞いた「女性調査」を合わせて分析した。
 全体調査でまず目立ったのが、子育て女性のストレスの多さ。男性では「ストレスがとてもたまっている」と答えた人が全体の一五・二%なのに対し、子育て中もほぼフルタイムで働く「子育て有職女性」ではこの比率が二八・六%、子育て専業主婦も二六・七%といずれも三割近くに高まる(図表1)。
 ストレスの原因をみると、子育て有職女性は「仕事の負担」を挙げた人の割合こそ三八・一%と、男性の六五・八%より低いが、育児や家事、仕事や家族の人間関係など他の理由では男性や全体平均を上まわった。子育て専業主婦は育児、家計のやりくりがストレスの原因として突出して高くなる。「育児や子供のしつけ・教育など」は八一・五%で、子育て有職女性(五二・四%)に比べてもかなり高い。
 ストレスの解消法として、子育て女性は有職、専業主婦とも、一位は「友人・知人との会話」だ(図表2)。「ケーキなど甘いものを食べる」もそれぞれ二位に入っており、同じような立場の友人とスイーツを食べながら話すことがストレス解消として有効のようだ。
 こうしたニーズに対応して人気を呼んでいるのが「親子カフェ」。例えば、スキップキッズ(東京・大田)が運営する店ではスタッフが見守る子供専用の遊び場があり、客席では母親がゆったり飲み物が飲める。同社は二〇〇四年に東京・江戸川に一号店を出した後、計六店舗に拡大した。親子カフェは玩具会社のバンダイも参入するなど、市場が広がっている。
 自宅でのお茶会やホームパーティーも子供を持つと増える傾向にある。女性調査では、「年に三回以上実施している」人が子育て女性の中で二六・四%を占め、未婚女性(七・八%)に比べはるかに高い。子供が〇―三歳の場合は三一・九%と、子供の年齢が低いほど高かった。
 こうした集まりに持ち寄る「おもたせ」のニーズもあり、スイーツ需要は堅調だ。女性調査で「人よりお金をかけていると思うもの」を聞いたところ、子育て女性では「コーヒー、菓子などの嗜好(しこう)品」を挙げた人が一八・三%で最も多かった(図表3)。自分で楽しむほか、コミュニケーションの潤滑油に使っているようだ。
 以下、「子供の習い事や教育費」(一八・一%)、「子供の衣料品や雑貨」(一七・八%)と続き、やはり子育て関連の費用がかさんでいる。
 「国内・海外旅行」は子育て女性全体では一五・七%と、未婚女性の二六・二%、ディンクス(子どものいない共働き夫婦)女性の二九・一%とやはり低くなる。ただし、子育て中でも有職女性を切り出してみると、三一・三%とディンクスよりむしろ高くなった。子育て有職女性だけでみると旅行はお金をかけているものの一位だ。ストレス解消法でも「旅行・レジャー」を挙げる有職女性は三割を超えており、子連れ旅行で気晴らししているようだ。
 「子供と一緒に海外旅行をしたことがある」人も子育て有職女性(二二・五%)が同専業主婦(一六・九%)より高い。こうした子連れ海外旅行のニーズの高さに対応して、ポピンズコーポレーションは今年から、ハワイのホテル内のキッズルームで子供の一時預かりを始めている。
 子育て有職女性は家事の負担を軽減する省力化家電を求める人も多い。食器洗い乾燥機は未婚女性は「使用中」が一一・七%、「新たに欲しい」を加えても計三三・一%だったのに対し、ディンクスは計五二・九%、子育て有職女性では同七八・八%と跳ね上がる。
 子育て有職女性では「掃除などの家事代行サービス」もすでに利用している人が五%、新たに使ってみたい人が三〇%で、未婚やディンクス女性より高かった。
 子育てをしながら働く女性は今後増加が見込まれており、子育て中ならではの需要に期待がかかりそうだ。
(日経産業地域研究所
研究員 伏見小百合)
【図・写真】子供の遊びも食事も気楽に(東京・大田のスキップキッズ雪谷店)







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