20080820 日本経済新聞 地方経済面
東京都内の自治体で、高齢者の介護予防を目的とした体操づくりが相次いでいる。大学とも共同、科学的に高齢者の筋力を高め、寝たきりや転倒を防ぐ。地元の民謡や区歌を用い、地域色を持たせているのも特徴。高齢者の健康を維持し、膨らむ一方の介護保険給付を抑える狙い。体操普及に向け他の自治体と連携する動きもある。
府中市は六月末、介護予防体操「元気一番!!ふちゅう体操」を発表した。早稲田大学スポーツ科学学術院が技術指導した。民謡「府中小唄」を軽快なロック調にアレンジ。市内にある大国魂神社の祭りや競馬場をイメージし、ひざを曲げ伸ばしする「おみこしのポーズ」や手綱を引く動きをする「競馬のポーズ」を取り入れた。
同市は「地元にちなんだ体操に親しんでもらい、介護予防への理解を深めたい」(高齢者支援課)と話す。
文京区は三月、リハビリテーションの考えをもとに「文の京 介護予防体操」を開発した。理学療法士らが考案し、東京大学大学院リハビリ医学分野の芳賀信彦教授が協力した。
筋電図で体操が筋肉に与える影響を検証し、足腰を中心に全身の筋力を高める十四の運動を盛り込んだ。BGMにはゆったりとしたテンポの区歌を採用して、軽度の要介護認定者でも体操できるようにした。
都内で先駆けとなったのは荒川区の「荒川ころばん体操」。二〇〇三年に区内にある首都大学東京健康福祉学部と共同開発した。同区は二十三区内で三番目に高齢者人口比率が高く、早くから介護予防に取り組んだ。小学校の体育館など二十一会場で定期的に教室を開いており、〇七年度の参加者は延べ五万六千人にのぼる。
さらに今年一月、それぞれ独自の介護予防体操がある茨城県牛久市、埼玉県上尾市、同富士見市の市民を招いて交流会を開いた。互いの体操を披露してアイデアを共有するのが目的だ。「自治体同士の交流で介護予防の輪を広げたい」(同区高齢者福祉課)という。
各地で介護予防体操づくりが相次ぐ背景には、〇六年の介護保険法改正で予防に重点を置く制度に変わったことがある。市区町村は要介護になる恐れのある高齢者を対象にした運動教室を設置することになった。高齢者が愛着を持って継続できる運動として、自治体オリジナルの体操が広がっている。
【図・写真】「文の京 介護予防体操」をする高齢者ら(東京都文京区)
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