20080816 日経プラスワン

 食費の節約は「買い物の方法」と「料理・保存の方法」の二通りに分けて取り組むと有効といわれる。「極力安く必要な食材だけを買い、買った食材は最後まで使い切る」のが最も理想的な節約法だ。
 無駄が生じやすい食材の代表例が、野菜、魚介類などの生鮮食料品。農林水産省の調査によると、食品使用量に占める廃棄と食べ残し重量の比率(ロス率)は果実類(九・七%)、野菜類(八・一%)、魚介類(七・六%)が上位を占める。みそ、しょうゆのような調味料のロスが、食べ残しを主因にしているのと対照的に、果物、野菜などは廃棄の多さがロス率を高めているのが分かる(表A)。
 食べ残しは食事の量を調節することである程度減らすことができ、節約に当たっては「買い物の方法」を重視すればよい。一方、廃棄量が多い生鮮食料品はそれ以外に「料理・保存の方法」が重要になる。食材の種類によって節約のポイントが異なることを、まずは認識しておこう。
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 では、具体的にどのような方法を用いれば効率的に節約できるか。節約アドバイザーで食生活アドバイザーの資格も持つ矢野きくのさんの助言をもとに節約術のポイントをまとめたのが表Bだ。
 まず買い物では、通常とは逆の発想で「スーパーのチラシはチェックしない」のがコツ。「安いから買う」という無駄な買い物の誘惑を断ち切るためだ。買い物の回数を減らし、物を買う機会そのものを少なくするのも有効だ。「必要な物を買い、欲しい物は買わない」(神奈川県の70代男性)をモットーに無駄な買い物を戒める人もいる。
 矢野さんがすすめるのが、プライベートブランド(PB=自主企画)商品の徹底的な利用。通常、PB商品は大手メーカーなどが生産・供給する商品よりも、一五―三〇%程度安い価格を設定していることが多い。代表的なPBとしては、セブン&アイ・ホールディングスの「セブンプレミアム」、イオンの「トップバリュ」などが有名だ。
 PB商品には「トップバリュ」のように、取り扱い品数が食品だけで約二千五百品目と豊富で、インターネットで注文を出せるものもある。購入額が一定額以上になると送料が無料になる場合もあり、PB商品もまとめ買いが有効だ。最近、原材料高を受けて一部のPB商品が値上げされたが、矢野さんは「依然として割安感があり、お得なことに変わりはない」という。
 調理・保存方法では、冷凍して鮮度を保ちながら、最後まで使い切るという方法が一般的。また、野菜の皮や葉は捨ててしまいがちだが、食材として十分活用できる。代表例が大根の葉。いため物や煮物などに使えるなど、レシピも確立されている。
 情報サイト「オールアバウト」で家計管理のガイドを務める山口京子さんは、自宅近くの菜園で野菜を栽培し、乾燥させて蓄えている。「乾燥野菜は物干しで二、三日干しておくだけで手軽に出来上がるのがポイント。いつでも戻して使え、食材を無駄にしない点で有効的」と指摘する。シソやカイワレ大根など少量しか使わない薬味は、台所やベランダの狭い場所を利用して栽培するのが効率的。種から育てるのは手間がかかるので、苗を購入して植えるのが簡単で確実な方法だ。
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 調理法では、残り物を捨てずに別の料理に再利用する「リメーク料理法」の習得がおすすめ。「野菜の残りをすべて鍋料理に使用する」(神奈川県の40代男性)、「残ったマカロニサラダはコロッケにする」(東京都の50代女性)など、多くの人が既に実践している。
 矢野さんによれば、どんな食材でも「春巻き」「グラタン」「スープ」の三種類の料理に再利用することが可能。例えば、肉じゃがや野菜いための残りは衣に巻いて春巻きにしておかずにできる。スープの具への再利用であれば、応用範囲はさらに広がる。
 リメーク料理について、山口さんは「食材と食材を掛け合わせる“掛け算の料理法”」、矢野さんは「レシピを覚えるのではなく、考える料理法」と言う。余った食材をもとにそこから新しい料理を想像して生み出していく過程が醍醐味(だいごみ)というわけだ。
 せっかくの食事。単に切り詰めるだけなく、楽しみながら節約しよう。(大角浩豊)






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