20080813 日本経済新聞 地方経済面

 茨城、栃木、群馬の北関東三県で県民共済の加入者数の増加が続いている。二〇〇八年三月末の加入者数は前年同月末に比べ、各県で四―五%増えた。五年前と比べると二六―三一%増加している。県民共済は月二千円からという掛け金の安さが特徴。家計所得が伸び悩む中、安価な保障の手段として見直されていることに加え、不払い問題を背景とした消費者の生命保険離れも県民共済を後押ししているようだ。
 〇八年三月末の加入者数(生命共済のみ)は茨城県民共済が三十八万人、栃木県民共済が二十四万人、群馬県民共済が二十五万人。
 県民共済で代表的な掛け捨て型商品(総合保障2型)は、死亡時に最大一千万円、入院時に五日目から一日あたり千五百―五千円が保障される。掛け金は月二千円。単純比較はできないが、同様の生命保険に比べ二―三割程度安い。
 県民共済の営業は宅配チラシが中心。五十―百人程度の営業職員を持つが、数千―数万人の営業職員を抱える大手生保会社に比べ人件費を抑えている。外資系生保会社のような多額の宣伝費用もかけていないため、集めた掛け金に対する人件費、宣伝・広告費、契約維持費などの諸経費の割合(事業費率)は全国平均で一八%。生保会社の三〇―四〇%台に比べ大幅に低い。
 茨城県民生活協同組合(同県古河市)の横塚安吉理事長は「生保の破綻が相次いだ一九九〇年代の終わりころから県民共済の加入者が急増し始めた」と話す。二〇〇〇年以降も勢いは続き、茨城県民共済では毎年一万―二万人ほど加入者が増え続けている。「大手生保の不払い問題をきっかけに保険を見直した結果、掛け金の安い共済に加入し直す人もいる」(同)という。
 〇三年、〇六年の商品改正も加入者数を伸ばす一因となった。〇三年に医療保障の適用年齢を六十五歳から八十歳に拡大。〇六年には掛け金据え置きのまま、死亡保障額や入院保障額を引き上げた。横塚理事長は「加入手続きをインターネット上でできるようにするなど、今後も商品内容の見直しを続けていく」と強調する。
 かんぽ事業の民営化や銀行による保険窓口販売の本格化など、保険、共済間の競争は激化が予想される。知名度で劣る県民共済が今後も競争力を維持していくには、さらなるコスト削減と魅力ある商品の開発が課題となりそうだ。
 ▼県民共済 全国生活協同組合連合会(さいたま市)が運営する共済制度。相談業務や加入手続きは全国三十九都道府県にある生活協同組合が代行する。「都民共済」「道民共済」など名称は地域によって異なる。
 加入には二百円の出資金が必要。商品は生命保険に相当する生命共済と、火災保険に相当する火災共済がある。郵送による手続きのほか、金融機関の窓口でも加入できる。
 茨城県のファイナンシャルプランナー(FP)、野沢通氏の話 県民共済の最大の魅力は掛け金の安さだ。保険料が家計を圧迫している場合、必要以上に保険料を払っている可能性がある。保険を見直す中で、県民共済を代替手段として使うのもひとつの手だ。
 県民共済は掛け金が安い分、保障額・保障範囲が限られる。育ち盛りの子どもがいる家庭などでは、県民共済だけで必要十分な保障を満たすのは難しい。例えば、保険料の安いインターネット生命保険の商品を併用するなどして、保障の不足分を補完してみてはどうか。






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