20080803 日本経済新聞 朝刊

 米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)については、様々な告発、証言、分析が出ている。そんななか、本書がめっぽう面白い。実際にサブプライム関連商品を販売した金融関係者の告白であるからだ。
 借り手は毎月返済する能力があるか。ローンが終わったとき、借り手は今より暮らし向きが良くなっているか。サブプライム層への融資のポイントは、この二点だ。そこから離れなければ、問題がこれほど深刻にはならなかったはずである。著者がサブプライムローンから足を洗うきっかけになったのは、二〇〇五年六月の融資案件だ。ローンを返すに返せない老夫婦に貸した際は、審査基準に合致していた。ところが実際には、焦げ付きが発生してしまった。
 サブプライムが急拡大した原動力は証券化である。住宅ローンを買い集め、証券にして様々な投資家に販売する。サブプライムの焦げ付き増加をきっかけに、この資金循環は凍り付いてしまった。
 ローンの借り手、ブローカー(仲介業者)、貸し手。入り乱れて演じた宴の後を、住宅市場は経験しているといってもよい。
 日本でも住宅ローンの証券化は、大きなテーマになっている。その際に大切なのは、米国の失敗を繰り返さないことだ。失敗の教訓の生々しさは、大いに参考になる。金森重樹監訳、金井真弓訳。(ダイヤモンド社・一、六〇〇円)






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