20080802 日本経済新聞 朝刊
保険金の支払い漏れ問題で業務改善命令を受けた日本生命保険など生保十社は一日、金融庁に業務改善計画を提出、公表した。保険金支払い体制の整備に加え、取り組みが遅れていた複雑な保険商品の簡素化などを盛り込んだ。明治安田生命保険の不払い発覚から約三年半。改善計画の提出で支払い漏れ問題に一つの区切りがついた形だが、今後は再発防止策をどう定着させるかが課題になる。
十社は日生、第一生命保険、明治安田、住友生命保険、朝日生命保険、富国生命保険、三井生命保険、大同生命保険、アリコジャパン、アメリカンファミリー生命保険。
業務改善計画を提出した十社のうち、日生、第一、明治安田、住生の大手四社の社長は一日、相次ぎ記者会見を開いた。生命保険協会長を務める明治安田の松尾憲治社長は「契約者の視点に立った運営ができていなかった」と、大量の支払い漏れを改めて陳謝した。
十社は業務改善計画で支払い漏れの再発防止策として、保険商品の見直しなどを盛り込んだ。日生が六種類あった死亡保障の医療特約を一種類に削減。支払い漏れの多かった「通院特約」については第一がすでに販売を停止、住生も「早急に見直す」(佐藤義雄社長)とした。シンプルでわかりやすい商品が増えれば、保険金を払えるかどうかの判断が容易になり、支払い漏れの防止に一定の効果がありそうだ。
保険商品の見直しのほか、各社とも支払い体制の整備や営業職員の質の向上、訪問活動の強化、施策の実効性を監視する組織の設置などを計画に盛った。「保険にかかわる入り口から出口まで、考え得ることはすべて盛り込んだ」(日生の岡本圀衛社長)という。
十社は業務改善計画と合わせて、経営責任を明確化するための社内処分も公表した。日生が岡本社長をはじめ現職の取締役十人について、役員報酬を二カ月間一〇―三〇%削減。第一が元役員を含む役職員計三十四人、明治安田が計四十二人、住生も計二十三人に対し、役員報酬の自主返上や減給などの処分をした。
ただ計画の真価を問われるのはこれから。今回発覚した支払い漏れは生保三十八社で約百三十五万件、約九百七十三億円にのぼる。業界の信頼回復には今後、再発防止の取り組みを定着させて「永続的に改善努力を続けていく」(第一の斎藤勝利社長)しかない。
【図・写真】記者会見する日生の岡本社長(右)(1日、日銀本店)
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