20080802 日本経済新聞 地方経済面

 原油価格の高騰を受けた石油元売り各社の卸値引き上げを受け、一日からガソリン価格が一斉に一リットル当たり六―八円前後上がった。ここ四カ月で六十円近い上昇で、乗用車が交通手段として欠かせない道内では家計にも打撃だ。ただでさえ景気の停滞感から消費心理が冷え込んでいる中、小売業や観光業などは、あの手この手で集客増や販売促進に知恵を絞る。
 ●観光 一日、商業施設などで旅行カウンターを展開するJTBトラベランドは道内二十店舗で、一人三万円以上のツアー商品を申し込んだ顧客にレギュラーガソリン十リットル分の引換券を贈呈し始めた。
 飛行機を利用するパックツアーが条件で、先着二千組が対象。道内の給油所最大手、北海道エネルギー(札幌市)の約百九十店で使える。割引分はJTB側が負担。「今年は春夏の営業が厳しく、秋に盛り返すべく消費者の関心が強いガソリンに着目した」(JTBトラベランド)。
 函館の湯の川温泉では「花びしホテル」や「湯の浜ホテル」など六施設が三十一日まで、ガソリン還元宿泊プランを共同で実施する。予約一部屋につきレギュラー十リットル分の無料給油チケットを贈る。湯の川温泉の各ホテルでは夏休みの宿泊予約が例年より一〇%程度少なく、共同で還元プランを企画し、話題性をアピールする。
 札幌市の隣の石狩市は、ガソリン高を逆手に急きょ観光PRポスターを作製。JR札幌駅や札幌市地下鉄の主要駅など計二十五カ所に掲示した。「近場の石狩に注目を集めるチャンス」(商工労働観光課)として、観光客増に期待する。
 ●流通  スーパー各社でもガソリンが最大の「販促品」となっている。イトーヨーカ堂は七月中下旬、買い物額五千円ごとに一リットル十円のガソリン割引券を配布。道内十三店では「期間中の売り上げの伸びは一〇%を超えた」(広報担当)という。七月三十日―八月三日に第二弾を実施中で、全国で約百万枚に達した前回以上の配布をめざす。
 ダイエーは七月下旬、道内八店で、五千円を超す買い物客にガソリン券を抽選で贈るキャンペーンを実施。「自動車での来客が多く好評で、売り上げにもつながった」(広報室)という。
 ●交通 乗用車の利用スタイルにも変化の兆しがある。自動車を複数の会員間で共同利用するカーシェアリング事業を手掛けるウインド・カー(札幌市、須賀原信広社長)が好調だ。営業する札幌市内での現在の会員数は約百六十人で、前年に比べ倍増した。春からは毎月十人単位で会員が増え、「ガソリン高からマイカーを処分して入会する人もいる」(同社営業企画部)という。
 レンタカー業界では、ニッポンレンタカー北海道(札幌市)が利用客に十リットルの給油券を贈るキャンペーンを展開。夏休みで道外客が増え最も需要があるこの時期の販促活動は異例という。
 ガソリン高に冷や汗をかく例も。北陸銀行は今年二―六月、道内店舗などでカーローンの利用客獲得のため抽選で二百リットル分のガソリン券を贈るキャンペーンを実施。「ガソリン高で、法律で定められた金融商品で提供できる景品の上限額に危うく引っかかりそうになった」という。
【図・写真】ガソリン価格はレギュラーも180円台後半にまで上昇した(1日、札幌市)





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