20080730 日経産業新聞
金融業界向けの人材派遣料金に下げ圧力が強まっている。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題による損失拡大や内外での景気減速を映し、人件費削減の動きが広がっているためだ。
「メガバンクや大手生保は今年度の人件費を二割程度削減するケースが見られる。証券会社では四割カットを打ち出すところも出てきた」。派遣大手の金融業界向け営業担当者は急速に強まってきた逆風に身構える。
金融機関が伝票類の処理など事務職の派遣スタッフに関して派遣会社に支払う料金は首都圏で一時間二千百―二千二百円程度。一年前に比べ百―三百円ほど下がった。
投資信託など各種金融商品を売る販売職でも一時間二千三百―二千四百円程度。二千七百円前後で契約する例も見られた昨年に比べて上値が切り下がった。
昨年まで金融機関では事務職や販売職の派遣スタッフの増員ラッシュともいえる状況だった。リテール(小口販売)強化に対応した動きで、派遣料も年率一〇%前後の勢いで上昇した。
しかし、サブプライムローン問題の拡大や世界的なインフレも加わった景気減速、株式市場の低迷が目立ってきた今年に入り、採用は慎重姿勢に一転した。
大手銀行には従来、顧客への迅速な対応などサービス向上の一環として支店や本店各部署が必要とする人数より多めに派遣スタッフを採用・配置する例が見られた。それが「業務の効率化が優先となり、少ない人数で済ませられるようにというスタンスに変わってきた」(スタッフサービス)という。
金融業でシステムの保守業務などを担当するエンジニア職の採用にも減少傾向が出ている。金融向けIT関連スタッフの派遣を手掛けるスキルハウス・スタッフィング・ソリューションズ(東京・港)によると今年の派遣需要は前年を四―六%下回る。
「金融機関が一カ月間にかける派遣エンジニアの平均採用コストは昨年の一人百十万円から、今年は八十八万―九十万円に下がっている」(同社のマーク・スミス社長)
金融機関は派遣スタッフの採用人数を削減する一方で、よりスキルの高い人材を選別して採用する傾向も強めている。経験豊富で高スキルの人材の派遣料金は比較的高水準を維持するものの、スキルが低く経験の浅い人材の料金は一段と下がるという料金の二極化が進む可能性もある。(毛塚正夫)
【図・写真】金融向けスタッフは高スキルの人材を選別して採用する傾向も現れている(スタッフサービス)
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