20080726 日本経済新聞 朝刊
総務省が二十五日発表した六月の全国消費者物価指数(CPI、二〇〇五年=一〇〇)は生鮮食品を除くベースで前年同月比一・九%上がり、十年五カ月ぶりの上昇率になった。原油など一次産品の価格高騰に伴う日常品値上げが広がってきたためだ。物価高でも賃金は抑制されているため、一九七〇年代の石油危機時のような連鎖的インフレは起きていない。ただ賃金上昇なき物価高は家計を圧迫し、景気の先行きに影を落としている。
六月はCPI統計の調査対象の約五百八十品目のうち六割が前年同月比で値上がりした。一方、値下がり品目は三割にとどまった。原材料価格の上昇分を最終製品に価格転嫁する動きがじわじわと進んでいる。
特に値上がりが目立つのは、エネルギー・食料品だ。値上がり上位十品目に入ったのは灯油やスパゲティ、チョコレート、即席めん、自動車バッテリーなどで、前年同月比で二―四割の大幅上昇になった。生鮮食品でも、ガソリン高による物流費高騰分を小売価格に転嫁する動きもあるとみられ、ニンジンやネギ、ホウレンソウなどは前年比で一〇%以上値上がりした。
一方、値下がりしている品目をみると耐久消費財が目立つ。パソコンやデジタルカメラは前年と同価格でも性能が上がっていると、値下がりしたとして指数を算出するため下落率が大きくなりがちだが、それ以外の電子レンジや冷蔵庫などの家電製品も下げている。
世界的な資源高は、日本の価格構造も変えつつある。エネルギーや食料品など一次産品価格の影響が大きい品目ほど上昇し、家電など工業製品は値下がりが続くという「物価の二極分化」ともいえる状況になっている。
資源高でエネルギーや食料など生活必需品が値上がりする一方で、賃金は伸びないため消費者は耐久消費財などの購入を先送りしているとみられる。
消費者の購入頻度別に分類したCPI統計をみると、六月は即席めんやポテトチップスといった「一年に九回以上」購入する品目が五・五%上昇した。耐久消費財のほか、シャンプーや理髪料などが入る「九回未満」は一・二%の上昇にとどまった。消費者が頻繁に購入する日用品ほど値上がりする傾向がみられる。
大田弘子経済財政担当相も同日の記者会見で最近の日常品の物価上昇について「消費者にかなりの負担感があると思う」と述べた。身近な商品の値上がりで消費者心理が冷え込み、個人消費が落ち込めば、物価高と景気悪化が同時に進む「スタグフレーション」的な様相が強まる可能性もある。
【図・写真】上昇品目の上位は食品が占めた(東京都内のスーパー)
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