20080712 日経プラスワン

 東京都在住の会社員、佐々木一洋さん(32)は最近、インターネットの相互レンタルサービスを利用し、人気漫画を全巻借りた。負担したのは着払いで払った送料の数百円のみ。「中古本を買うとしたら千円以上の出費は想定していたので、安くてお得。漫画喫茶と違い、自分の家でゆっくり読める」と話す。読み終わった漫画は同じサイトで別の人に着払いで送った。
 佐々木さんは同じサービスを使って、子どもが欲しがっていたキックボードも借りた。しかし、子どもは実際に遊ぶと、ほどなくして飽きてしまった。「安くはない商品なので、こういうサービスを利用してお試しに使えるのは便利」と満足げだ。
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 佐々木さんが利用したのは「シェアモ」という不用品を貸し借りできるサイト。会員登録をすると、自分の不用品を登録して貸し出したり、別の人が登録した品物を借りたりすることができる。同サイトにはCDやDVD、キャンプ用品など約千八百点が登録されている。テレビなど家電も登録できるため、借り手が見つかれば処分費を節減できるという利点もある。
 図書館で本を借りる場合も、ネット上のサイトを利用することでより便利に使える。書籍検索サイト「クネゾン」は、書籍販売サイト「アマゾン」の書籍情報やブログに書かれた感想を参照しながら、その書籍を所蔵する図書館を検索できる。最近、このサイトを知った東京都在住の大学生、路星洋さん(21)は「ほかの人の評価を見ながら本を探せるのは便利」と話す。
 「お部屋も心もすっきりする持たない暮らし」の著者である金子由紀子さんは「必要なものにお金をかけることも大切だが、ものを持ち過ぎるとお金を非効率に使いがちになる」と指摘する。金子さんがレンタルと並んですすめるのが「他人との共有」だ。
 東京と名古屋を頻繁に行き来する東京都在住の坂田さやかさん(26)が「他人との共有」で費用を節約したのは交通費。同じ日に車で名古屋に行くドライバーをネット上で探し、同乗させてもらった。交通費の一部を支払うのが条件で、負担額は約二千円。新幹線の約五分の一だ。「安全のため事前に同乗者がどんな人か確認する必要はあるが、費用は安く済み、一人旅よりも楽しく過ごせる」という。
 このように車に同乗する相手を探し、交通費を分担する仕組みは「ライドシェア」と呼ばれる。相乗り相手を募る専用サイト「のってこ!」は利用者に免許証などの写しの提出を求めたり、利用後に同乗者を評価する制度を設けたりするなど、お互いに安心して利用できるように工夫を凝らしている。
 情報サイト「オールアバウト」の家計管理ガイドである山口京子さんは「使う機会が限られるものを買う場合、使い終わった後に売ることをあらかじめ考えて、高く売れそうな品物を選ぶのも一手」と助言する。例えば、女性の洋服などは知名度や人気のあるメーカーの商品を選べば、後にインターネットオークションなどで売りやすくなる。
 一児の母でもある山口さんは「子供の成長は早く、ベビー服は頻繁に買い替えなければならないので、中古品の利用も有効」と強調する。ネット上の交換サイト「こそだてママ・マーケット」では、約一万四千点の子供服を取り扱っている。
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 手持ちの品物で代用するのも一法だ。金子さんが一例として挙げるのが、携帯電話の活用。「最近の携帯は音楽機能やカメラ機能が搭載されているものが多い。こだわりがあるなら別だが、携帯を音楽プレーヤーやカメラの代用品として使えば、その分出費を節約できる」と指摘する。
 無駄な出費を省く究極の方法は「そもそも買わない」ことだ。金子さんは自分の持ち物を常に点検し、最大限活用することを心掛ける。洋服は一着ずつ名刺大のカードにイラストを描いてファイリングしておく。何を持っているか把握したうえで、組み合わせを考えて買うため「衝動買いはほとんどない」という。
 物価の値上がりが続く中「持たない家計術」の発想で一度、じっくり家計を見直してみるのもよいかもしれない。(小林由佳)
 借りる、共有する、代用する――。家計費を節約する方法の一つとして、こうした「持たない家計術」が関心を集めている。本やCD、衣服、車に至るまで、買わずに必要に応じて必要な期間だけ限定利用することで、無駄な出費を省く方法だ。実践者の体験談をもとに「持たない家計術」のコツを探った。
【図・写真】不要品を貸し借りできる「シェアモ」は携帯電話で利用できる

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