20080530 日本経済新聞 朝刊

 福田康夫首相が社会保障費の伸びを年二千二百億円抑制する政府目標を維持すべきだとの意向を複数の与党幹部に伝えていることが二十九日、明らかになった。目標を撤廃すれば「改革後退」との印象を与え、市場にも悪影響があるとみているためだ。政府が六月下旬にもまとめる経済財政運営の基本方針「骨太方針二〇〇八」や八月の来年度予算案の概算要求基準でも方向性を示す。(関連記事5面に)
 首相は十四日、首相官邸で自民党の谷垣禎一、公明党の斉藤鉄夫両政調会長と会談し「二千二百億円削減の旗を降ろすと『日本売り』につながる」と語った。自民党の津島雄二税制調査会長も二十八日夜の党税調幹部との会合で「首相は『財政規律を守るように』と言っていた。首相の決意は固く、変えるのは難しい」と報告した。
 二千二百億円の抑制目標は小泉政権で策定した「骨太方針〇六」で決定し、〇七年度予算から実施した。公共事業費の年三%削減と並び、改革路線の目玉となっている。
 与党内では後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の改善策の検討などに伴って、〇九年度予算案で目標を維持するのは困難との声が広がっている。政府内では雇用保険の国庫負担の廃止や、介護保険の自己負担率の引き上げなどでの歳出抑制案が検討されているが、負担増につながる関係者からの批判は必至だ。
 ただ、抑制目標を維持する場合、後期高齢者医療制度の改善で歳出が膨らめば、その分を削る必要がある。政府・与党内では補正予算や地方交付税などで二千二百億円を上まわる財源を確保する案も浮上しているが、形だけの歳出削減との批判を招く可能性もある。