20080530 日本経済新聞 朝刊
外貨建て投資信託を通じた個人投資家の外貨買いが復調の兆しを見せている。投資の目安となる日米の株式相場が堅調に推移し、外債などへの投資余力が出てきたためだ。個人マネーが外貨建て投信に流れ込めば、外国為替市場では円安の要因になる。投資家は世界的なインフレリスクを織り込み、資源国の債券に投資するなど商品を慎重に選別する姿勢も強めている。
▼…二十九日の東京外国為替市場では、午前十一時ごろにまとまった円売り・ユーロ買いが入った。これにつられる形で円は英ポンドや豪ドルに対しても売られた。「久々に規模の大きな投信が設定され、円売りを促した」。市場ではこんな声が聞かれた。
市場に影響を与えたとみられるのが、ドイチェ・アセット・マネジメントの外貨建て投信だ。同社は同日、ロシアの国債などに投資する投信を設定。設定上限額の八割強にあたる四百八十九億円を集めた。同社は時期を明らかにしていないが、集めた資金をユーロに転換するという。
▼…三月半ばまでの急激な円高で損失を被った個人投資家は、三月下旬以降の戻り相場でも外貨建て投信に慎重だった。募集した金額が設定上限額の一割を下回る例も多かった。月ごとの外債などへの資金の流出額は、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が顕在化した昨夏以前の約三割に落ち込んでいる。
足元で復調の兆しを見せてきたのは、市場の関心が世界的なインフレ動向に移り、金融不安への懸念が薄らいでいるため。夏のボーナスを控え、個人投資家がリスク商品に資産を向け始めた面もある。
大和証券投資信託委託は三月末からブラジル株式に投資するファンドを運用。当初の設定額は二十七億円にとどまっていたが、その後の追加募集で個人マネーが流入し、約百億円に膨らんだ。
▼…個人の投資スタイルも変わりつつある。ロイヤルバンク・オブ・スコットランドの山本雅文氏は「資源高によるインフレが各国の景気を下押しする懸念がある中、個人投資家は外貨建て投信の選別色を強めていく」と指摘する。
かつては新興国としてひとくくりだったブラジル、ロシア、インド、中国(BRICs)。資源高に伴いインフレ圧力が高まる中、資源国のブラジルとロシアへの投資は人気が高く、逆に資源消費国の側面が強いインドや中国向けには資金が集まりにくいという。外貨建て投信が伸びたといっても、円売り需要は通貨によってまちまちになる可能性もある。
(K)
外貨建て投資信託を通じた個人投資家の外貨買いが復調の兆しを見せている。投資の目安となる日米の株式相場が堅調に推移し、外債などへの投資余力が出てきたためだ。個人マネーが外貨建て投信に流れ込めば、外国為替市場では円安の要因になる。投資家は世界的なインフレリスクを織り込み、資源国の債券に投資するなど商品を慎重に選別する姿勢も強めている。
▼…二十九日の東京外国為替市場では、午前十一時ごろにまとまった円売り・ユーロ買いが入った。これにつられる形で円は英ポンドや豪ドルに対しても売られた。「久々に規模の大きな投信が設定され、円売りを促した」。市場ではこんな声が聞かれた。
市場に影響を与えたとみられるのが、ドイチェ・アセット・マネジメントの外貨建て投信だ。同社は同日、ロシアの国債などに投資する投信を設定。設定上限額の八割強にあたる四百八十九億円を集めた。同社は時期を明らかにしていないが、集めた資金をユーロに転換するという。
▼…三月半ばまでの急激な円高で損失を被った個人投資家は、三月下旬以降の戻り相場でも外貨建て投信に慎重だった。募集した金額が設定上限額の一割を下回る例も多かった。月ごとの外債などへの資金の流出額は、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が顕在化した昨夏以前の約三割に落ち込んでいる。
足元で復調の兆しを見せてきたのは、市場の関心が世界的なインフレ動向に移り、金融不安への懸念が薄らいでいるため。夏のボーナスを控え、個人投資家がリスク商品に資産を向け始めた面もある。
大和証券投資信託委託は三月末からブラジル株式に投資するファンドを運用。当初の設定額は二十七億円にとどまっていたが、その後の追加募集で個人マネーが流入し、約百億円に膨らんだ。
▼…個人の投資スタイルも変わりつつある。ロイヤルバンク・オブ・スコットランドの山本雅文氏は「資源高によるインフレが各国の景気を下押しする懸念がある中、個人投資家は外貨建て投信の選別色を強めていく」と指摘する。
かつては新興国としてひとくくりだったブラジル、ロシア、インド、中国(BRICs)。資源高に伴いインフレ圧力が高まる中、資源国のブラジルとロシアへの投資は人気が高く、逆に資源消費国の側面が強いインドや中国向けには資金が集まりにくいという。外貨建て投信が伸びたといっても、円売り需要は通貨によってまちまちになる可能性もある。
(K)