20080520 日本経済新聞 朝刊

 十九日の社会保障国民会議では、全額税方式を初めて議論したが、出席者からは税方式についての異論も出た。医療や介護など社会保障全体に税財源をどう充てるべきかなど課題も多い。六月にまとめる中間報告は両論併記になる公算が大きい。
 税方式案は基礎年金の財源を保険料から全額消費税に置き換える。これに対し「年金だけでなく、医療や介護にも税財源を求めざるをえない」(松山市の中村時広市長)との声も出た。
 基礎年金を税方式にした場合に消える企業の保険料負担三兆―四兆円を何に振り向けるかについても論点になった。座長の吉川洋東大教授は「企業は厚生年金の適用対象者をパートなどに広げても三千億円程度にすぎない。どう使うかも議論すべきだ」と指摘した。連合の古賀伸明事務局長は「企業負担の軽減分は労働者に還元されるべきだ」と語った。
 社会保障国民会議は「現役世代の活力の維持」や「高齢期の所得保障」などの観点から議論を深め、秋に最終報告をまとめる。福田康夫首相は十九日夜、年金制度改革に伴う財政試算について「今は税と保険を両方組み合わせているが、いろいろな方式がある。比較して国民が一番納得できるものを検討して選んでもらう」と強調した。