2008年05月12日03時12分

 保険会社に直接寄せられた07年度の苦情件数が、主要9社だけで少なくとも40万件を超えた。05年度の倍にあたる。不払い問題で契約者の不満が噴出。会社側も目を背け続けるわけにはいかず、経営に生かす姿勢に転じてきたことも背景にある。それでも、信頼回復は簡単ではない。

 朝日新聞が大手生命保険4社、大手損害保険5社に取材してまとめた。生保では07年12月末までの苦情件数が主な4社だけで約25万件。3月末までにさらに数万件増えているとみられる。損保は07年度を通じて約15万件だった。

 「保険金の請求手続きが複雑でよくわからない」といった不払い問題につながる苦情や、「割引制度を十分説明してくれなかった」といった保険料の取りすぎにかかわる不満が目立った。「営業職員が事実と違う説明をした」「知らないうちに契約させられていた」という指摘もあった。

 苦情が増えたのは、05、06年度に保険会社の処分が相次ぎ、契約者の不信感が高まったのが第一の理由だ。さらに保険不信を受けて、各社が「顧客全員を訪問して契約を点検」(日本生命)といった対応を進め、「苦情」として集計する範囲も広げた。

 例えば保険金が支払われないとの抗議があっても、契約者が再調査をはっきりと要求しない限り、これまでは苦情に含めないことがあった。こうした扱いを反省し、苦情を「業務改善につながる宝の山として受け止めなおした」(大手損保)という。

 東京海上日動は、苦情から問題を見つけるため、消費生活アドバイザーを交えて分析。住友生命は営業職員に専門的な助言をする部署をつくり、苦情に素早く答えられるようにする。業界団体も、各社ごとの苦情件数の推移を、夏から公表する予定だ。

 ただ、不払いや取りすぎ問題では、金融庁から新しく処分が出る可能性が残る。保険会社の信頼回復は道半ばで、苦情はまだ増え続けそうだ。(鯨岡仁、多田敏男)