20080514 日本経済新聞 朝刊
財務省が介護保険の給付削減策についての試算を示したのは、制度を維持するためには、利用者にも一定の痛みを求めざるを得ないと判断したためだ。給付額が膨張し続けるなかで制度改革は優先課題だが、国民の理解を得るには、他の制度とバランスのとれた社会保障改革の全体像を示すことが欠かせない。
四月導入の後期高齢者医療制度では低所得者ほど保険料が上がりやすい傾向が判明し、厚生労働省は批判を受け負担軽減策を検討中だ。しかし実際には保険料を払う人の五割未満しか新制度の影響を把握できていないもよう。年金記録漏れに続く混乱で社会保障制度への信頼が揺らいでいる。
介護保険でも軽度の要介護者への給付を制限したり、自己負担を引き上げたりすれば、高齢者は医療と介護で二重の負担増になる可能性がある。
安易な介護サービスの利用に歯止めをかける措置は必要なものの、財政面の事情からだけでは給付削減に理解は得られない。財制審の会合でも「医療や年金を含め、全体を踏まえて議論すべきだ」(吉川洋東大教授)という意見が出た。
急速な少子高齢化に耐えうる社会保障制度の構築は待ったなしだ。介護をはじめ各制度のムダを省いて効率化するとともに、高齢者にも収入や資産に応じ応分の負担を求めることは避けられない課題。現役世代と高齢者世代との負担のバランスにも目配りが必要だ。
財務省が介護保険の給付削減策についての試算を示したのは、制度を維持するためには、利用者にも一定の痛みを求めざるを得ないと判断したためだ。給付額が膨張し続けるなかで制度改革は優先課題だが、国民の理解を得るには、他の制度とバランスのとれた社会保障改革の全体像を示すことが欠かせない。
四月導入の後期高齢者医療制度では低所得者ほど保険料が上がりやすい傾向が判明し、厚生労働省は批判を受け負担軽減策を検討中だ。しかし実際には保険料を払う人の五割未満しか新制度の影響を把握できていないもよう。年金記録漏れに続く混乱で社会保障制度への信頼が揺らいでいる。
介護保険でも軽度の要介護者への給付を制限したり、自己負担を引き上げたりすれば、高齢者は医療と介護で二重の負担増になる可能性がある。
安易な介護サービスの利用に歯止めをかける措置は必要なものの、財政面の事情からだけでは給付削減に理解は得られない。財制審の会合でも「医療や年金を含め、全体を踏まえて議論すべきだ」(吉川洋東大教授)という意見が出た。
急速な少子高齢化に耐えうる社会保障制度の構築は待ったなしだ。介護をはじめ各制度のムダを省いて効率化するとともに、高齢者にも収入や資産に応じ応分の負担を求めることは避けられない課題。現役世代と高齢者世代との負担のバランスにも目配りが必要だ。