5月8日16時1分配信 医療介護情報CBニュース
がん患者が世界中で急速に増加している中、独立行政法人理化学研究所(理研)と国立がんセンターは5月8日までに、世界10か国の13機関とともに、国際共同プロジェクト「国際がんゲノムコンソーシアム(ICGC)」を発足させた。ICGCでは、最大で50種のがんについて高精度のゲノム異常のデータを解析。世界の研究者に迅速に無償提供し、がんの解明や克服に役立てる。
高齢化とともに、がんによる死亡者数は増加を続け、日本では1981年に国民の死亡原因の第1位となった。がんは、日本など先進国だけでなく、開発途上国でも急速に増加しており、米国がん学会によると、昨年には世界で約760万人が死亡し、1200万人以上が新たにがんと診断された。こうした中、がんの解明や克服に進歩がないまま推移すれば、2050年には1750万人が死亡し、2700万人が罹患(りかん)すると予測されている。
ほとんどすべてのがんでは、遺伝子の設計図であるゲノムに異常(変異)が発生。その結果、正常な分子経路が破壊され、無秩序な細胞増殖を来すことが分かっている。また、特定のがんや病態では、特徴的なゲノム変異が認められるため、それぞれのがんでゲノムの変異がどこでどのように起きているかを体系的に示し、それらを「カタログ化」することができれば、がんの予防や診断、治療法に新たな手法をもたらす可能性があるとして、このプロジェクトが進められることになった。
プロジェクトには、理研と国立がんセンターのほか、カナダや米国、インド、中国など10カ国の13機関が参加。事務局は、カナダのトロントにあるオンタリオがん研究所に設置された。
ICGCの意義について、理研の野依良治理事長は「がんは非常に複雑な病気なので、がんゲノム研究の国際協力が、がんへの理解を深め、患者により良い治療法の提供をもたらす」と指摘。国立がんセンターの廣橋説雄総長も、「世界のがん研究者が協調して、がんゲノムの全容解明に向けた研究を推進し、その成果をがんの予防や診断、治療に応用していくことは、がんの克服に向け大きな前進となるだろう」と話している。