20080502 日本経済新聞 大阪朝刊

 大阪府の橋下徹知事直轄の改革プロジェクトチーム(PT)が示した財政再建プログラム試案を巡って、PT側と庁内十一部局による四日間にわたった公開協議第一弾が一日、終わった。試案に強く抵抗する部局側と、理解を求めるPTの議論は丁々発止の場面も。府民に痛みを求める財政再建の命題を貫くのか、医療、教育、治安などのセーフティーネットや施策を維持するのか。「大阪のために」と主張をぶつけ合った経過を振り返った。
 教育や医療、治安など府民生活に直接影響する分野の担当部局は、一様に強く反発した。
 この日、最後の議論に臨んだ教育委員会。綛山哲男教育長が「教育は国家百年の計」と述べ試案のほぼすべてに「見直し困難」と主張。PT側は「共有できる議論を」と批判した。綛山教育長が「教育の位置づけを分かってほしい。心外だ」と気色ばむ場面もあった。
 警察官定数削減などを求められた大阪府警は「警察の特殊性を考えて」と反発。「府民が笑うための根源的なものは治安。単純に費用対効果では計れない」と訴えた。PT側は「一人でも二人でも減らせる余地はないか」と迫ったが、府警側の姿勢は変わらなかった。
 老人や障害者らの医療費助成のカットなどを迫られた健康福祉部との議論は予定を三十分オーバー。同部は「命にかかわる予算カット」と批判しながらも削減努力も示したが、議論が平行線になる場面も目立った。
●厳格査定
 あらゆる場面で「今の府の財政状況を考えて」と理解を求めたPT側。コスト高が目立つ事業には事実上の「ゼロ査定」を突きつける場面も。
 「市町村の補助を廃止すると市町村が撤退しかねない」と商工労働部が訴えた地域就労支援事業。就労者一人当たりの補助額は約十三万円。PT側は「定着度が低く高コストだから継続とは理解しがたい」とばっさり。
 政策企画部の人権相談事業でも「非効率なままでは予算計上することはできない」と厳しく繰り返した。●橋下裁き?
 “裁判官”を自任して聞き役に徹する姿勢を示す橋下知事を前に会場はさながら法廷。PT側と部局側が左右に対峙(たいじ)するスタイルで進められた。
 メディアへの公開の場で議論を尽くそうという橋下流。PTと部局の議論の多くは盛り上がり、知事はほとんどの場面で「とてもいい議論でした」と満足げに総括した。
 「活発に議論するために意見は言わない」としていた橋下知事だが、思わず発言も。文化事業の見直しを迫られ削減の悪影響を熱弁した生活文化部の資料を「あいまいで不明確」と批判、「府の文化行政で大阪の文化がどうなったかまず示して」と注文も付けた。
【図・写真】PTの試案に対する教育委員会の意見を聞く橋下知事(1日午後、大阪府庁)