20080429 日本経済新聞 朝刊

 後期高齢者医療制度の問題をまとめた。
 Q なぜ批判が集まっているのか。
 A 一言でいえば制度の分かりにくさにある。「何のための制度か」「保険料は上がるのか」――。厚生労働省はこうした点を丁寧に説明してこなかった。高齢者は不安にかられたまま四月十五日に年金から保険料を天引きされ、一気に動揺が広がった。
 七十五歳以上を「後期高齢者」と呼ぶネーミングも反感を買った。高齢者だけの担当医制導入も「行きたい病院に行けなくなるのでは」などと不安が広がった。
 Q そもそも制度導入の目的は何か。
 A 高齢者の医療に必要な財源の管理を市町村ごとではなく都道府県単位に広げ、保険の財政を安定させる狙いだ。医療費の膨張を抑え、高齢者に応分の負担を求める設計になっている。
 Q 厚労省は混乱にどう対応するのか。
 A 総務省や自治体と協力し、制度のPRに努める構えだ。野党の主張する制度廃止や抜本的な見直しには慎重だ。
 Q 高齢者の保険料は上がったのか。
 A 厚労省の説明によると、高い所得を得ている高齢者の保険料は上がり、低所得者は下がる傾向にある。しかし「実際に何割の高齢者の保険料が上がるのかは分からない」とも説明しており、混乱の原因になっている。都市部などでは低所得でも保険料が上がる例もみつかっている。
 Q 今後の焦点は。
 A 六月半ばの第二次年金天引きがスムーズに行くかどうかだ。扶養者(子供)が会社員の場合、七十五歳以上には四月から新たに保険料の負担を求めるはずだったが、一時的に免除されている。


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