20080403 日本経済新聞 朝刊
人生の安心を託す保険会社の経営が盤石かどうかの目安が、保険金の支払い余力(ソルベンシーマージン)比率だ。金融庁は健全性をより正確に示すため、この比率の算定方法を見直し、早ければ二〇〇九年三月期から適用する。株安や円高で有価証券含み益が急減、生命保険会社の財務基盤に関心が集まっている。見直しが経営戦略などに影響する可能性もある。
支払い余力比率は大災害や株価暴落など保険会社が抱える様々なリスクに対し、現預金や有価証券含み益など保険金を支払う余裕がどのくらいあるかを示す。二〇〇%が健全性の目安となり、大手生保の大半は一〇〇〇%を上回る。
ただ、過去には同比率が二〇〇%を上回りながら破綻した生保が相次いだ。「健全性を正確に示していない」との批判が強まり、〇四年の金融改革プログラムでも見直しの必要性が指摘されていた。金融庁は先に同比率の見直し案を公表。欧州各国は保険負債を時価評価する準備をしており、それに歩調を合わせる狙いもある。
算出方法を変えると、各社が公表している支払い余力比率も大きく変わる可能性がある。特に影響が大きいのは、株式や債券など保有資産が元本割れになるリスクを厳しく見積もることだ。
具体的には、リスクをはじく際に参考にする期間を、現行の一九九五年までから直近の〇七年までに拡充する。こうすると日経平均株価が一時七〇〇〇円台の底をはった〇三年も含み、下落のリスクは膨らむ。いままでは「異常値」として想定外にしていた極端な価格下落も幅広く取り込む。
こうなると、生保各社の支払い余力比率は大幅に下がるとみられている。「現在の半分まで下がる」(大手生保)との見方もある。生保業界では経営に及ぼす二つの影響がささやかれる。
まず、比率を上げようと自己資本の増強が活発になること。契約者の間では破綻が相次いだ生保危機の記憶が薄れていない。業界平均より比率が見劣りする生保では、資本調達が大きな経営課題に浮上しそうだ。
二つ目は生保が保有リスクを避けるため、株式売却に動くことだ。現在は株式のリスクは保有額の一〇%だが、新比率では約二〇%に上がる見通しだ。生保は運用だけでなく契約獲得に役立てるためにも、様々な企業の株式を取得した。バブル崩壊後に持ち合い解消が進むなか、一部の大手生保は政策株の保有を続けた。「最後の安定株主」が売却に動くようなら、資本市場への影響は無視できない。
金融庁は五月まで見直し案への意見を公募し、業界とも調整して早ければ〇九年三月期の年度から適用する考えだ。だが世界的に金融市場が動揺しており、このシナリオに狂いが生じる可能性もある。
国際潮流も意識して生保などの健全性をより正確に示す必要はあるが、株価下落に拍車をかけるような見直しも避けたい。金融庁も難しい判断を迫られる。
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