3月18日11時37分配信 ITmediaエンタープライズ



 携帯電話ユーザーの約84%がQRコードを利用している――ネットエイジアが3月14日に発表した「QRコードに関する利用実態」の調査結果で明らかになった。携帯電話が高機能化したことで、QRコードの利用は一般的に広まってきた。その状況に企業も足踏みしているわけではない。企業はQRコードをどのようにビジネスに結び付けているのだろうか。


●お墓のQRコードで故人の声を

 お墓参りにQRコードが一役買う――IT DeSignはオリジナルのQRコード「デザインQR」を、石の声が提供する墓石シリーズ「供養の窓」に提供、4月1日にQRコード付きのお墓を発売する。

 供養の窓は、窓鍵が付いた扉の内部にデザインQRを設置し、故人の写真やプロフィールなどを閲覧できるようにしている。動画へのリンクも張っており、30秒程度の動画を見ることもできる。記念となる動画を残しておきたいという親族の声を反映させた。扉の鍵は親族など限られた人が持ち、部外者はQRコードを読み取れないようになっている。

 「誰もがQRコードを読み取れるようになると嫌だが、親族だけが読み取れる仕組みなら安心という声も出ているなどニーズはある」(IT DeSign広報部)

 病気をしている高齢者は、お墓参りのために長距離を移動することが難しい。携帯電話からお墓参りをしたことを記帳できる電子掲示板もサービス化する予定だ。故人のQRコードを印刷したカードやペンダントを香典として提供する考えもあるという。「携帯電話の利用率が高い若い世代などが使うような、新たなサービスとして展開する」(IT DeSign広報部)。

 これまでポスターやチラシなどに印刷されていたQRコードは、新たなビジネスと結びつこうとしている。

●企業利用の主流は?

 企業はQRコードをどのようにビジネスに使っているのだろうか。

 フリーペーパーやポスターなどにQRコードを印刷して、プロモーションを展開するといった用途が企業では多い。ネットエイジアのマーケティング事業本部に勤める境野智樹氏によると「企業がモバイルサイトの構築を積極的に進めている」という。QRコードが普及した背景には、企業のマーケティングへの取り組みが関連している。

 携帯電話が普及したことで、一人一台携帯電話を持つようになった。それに伴いモバイルサイトの利用も増えた。これまでWebサイトで情報を提供してきた企業も、モバイルサイトを用いた情報提供が必要となっている。

 Webサイトはあらゆる情報を掲載できるが、モバイルサイトは表示画面が限られる。「最初の画面で有益な情報がなければ、ユーザーは二度とそのモバイルサイトには戻ってこない」(境野氏)。

 QRコードからWebサイトにユーザーを導くサービスを提供しているアイディーエスは、QRコードで読み取ったURLをPCに転送するASPサービス「Q転直Pa」を開発した。ITソリューション営業部アカウントエグゼクティブである水島壮野氏は「QRコードがコモディティ化(一般化)してきた。モバイルサイトから自社のWebサイトに導いて利益を上げようとする企業は多い」という。

●QRコードビジネスはどこにいくのか

 今後QRコードはどのようなビジネスを生み出すのか。

 「航空業界では、紙の航空券をなくすためにQRコードを導入している」(IT DeSign広報)。「QRコード経由で大学が入試情報を提供したり、ドナーカードにQRコードを掲載したりしている」(水島氏)――チラシやポスターなどにQRコードを印刷すればいいというビジネスモデルは薄れつつある。

 「トレーサビリティの観点からQRコードの利用を考えるメーカーや業界団体も増えている」(IT Design広報)という。誰が生産し、どのような経緯で加工したかといった情報をQRコードとして食品につけることで、消費者は安全を確保できる。ICタグなどに比べて価格が安いが、「食品業界での実用化は進んでいるわけではない」(境野氏)。

 「買い物をしながらQRコードを読み取るようなユーザーはほとんどいない。ユーザーはQRコードについて、URLを打つ手間が省けるくらいのメリットしか感じていないからだ」(境野氏)。「ユーザーの8割以上がQRコードを利用した経験があるという調査を発表したが、継続的に利用しているヘビーユーザーはまだ一部」(同氏)。

 企業はQRコードをプロモーションに利用する。だがビジネスとして利益を出すには、ユーザーがQRコードを使う利点をこれまで以上に考える必要がありそうだ。


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