20080314 日本経済新聞 朝刊


 急速な円高・株安は個人投資家の「家計マネー」も惑わせた。十三日の円相場は一時、十二年ぶりに一ドル=一〇〇円の大台を突破し、日経平均株価も四〇〇円を超す下落で昨年来安値を更新した。低金利に耐えかねて株式や外貨、投資信託に資金を向けた個人投資家の中には多額の損失を抱えて売るに売れない人も。逆に円急伸で攻めの投資を仕掛ける動きもある。


 円高・株安は投資信託への資金流入を細らせている。十三日午後、都内の証券会社の店舗から出てきた六十七歳の男性は「新興国株ファンドを売り、一度現金に替えた」とため息をついた。


 株式投信の運用成績は低下の一途。昨年まで好調だった新興国株ファンドを手放す動きも広がる。大手証券の店頭でも、株式投信を売り現金や外貨建て債券に退避する投資家が多いという。


 投信に詳しいゴメス・コンサルティングの田村威氏は「銀行窓販が伸びた二〇〇三年以降で初めての調整。だが株安局面では売り急がず保有し続けるべきだ」と話す。


 個人マネーの「避難先」が外貨建て債券。楽天証券では「外債を購入できるホームページの三月のアクセス件数が前月比約一・五倍に伸びた」(矢田耕一マーケティング本部長)。米ドルの急落で豪ドル、カナダドルをはじめとする資源国通貨建て債券の人気が一段と高まった。野村証券は「三月に募集開始の豪ドル建て債は一千億円超の資金を集めた」という。

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