電化製品列伝 / 長嶋 有
（本年３１冊目 / 通算717冊）
糸島市図書館 蔵書あり
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不思議な本に出会った。
この本では、さまざまな文学作品の、その中の電化製品について描かれている場面だけを抜き出して熱く語られている。
電化製品の本なのか、書評集なのか、なんとも不思議な本なのだ。
どんな作品が取り上げられているのかピックアップしてみる。
・川上弘美『センセイの鞄』の電池
・伊藤たかみ『ミカ！』のホットプレート
・吉田修一『日曜日たち』のリモコン
・柴崎友香『フルタイムライフ』のシュレッダー
・福永信「アクロバット前夜」のマグライト
・尾辻克彦「肌ざわり」のブラウン管
・映画『悲しい気分でジョーク』のレーザーディスク
・吉本ばなな「キッチン」のジューサー
・生田紗代「雲をつくる」の加湿器
・アーヴィン・ウェルシュ『トレインスポッティング』の電気毛布
・小川洋子『博士の愛した数式』のアイロン
・干刈あがた『ゆっくり東京女子マラソン』のグローランプ
・高野文子「奥村さんのお茄子」の「オクムラ電機店」
・栗田有起「しろとりどり」のズボンプレッサー
・映画「グレゴリーズガール」の電動歯ブラシ
・花輪和一『刑務所の中』の電気カミソリ
・長嶋有「猛スピードで母は」の炊飯ジャー
これまで小説（映画や漫画も含めて）に出てくる電化製品のことを気にも留めていなかった。
『電化製品列伝』で取り上げられた作品の一部は、すでに読んだことがある本なのだが、電化製品の描写がどうだったかなんて憶えてない。
あらためていろんな作品を読み直して、作者の細やかな描写に感動した。
いろんな作品の中から『電化製品』をピックアップするだけで、読書に新たな世界が開けると事実を知った。
読書のたのしみ方を知った。
読書の新しい可能性が拓けた。
自分なりの『電化製品列伝』をつくってみるのも、おもしろいかもしれない。
