『和展Ⅳ2023』を見て | JOKER.松永暢史のブログ

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2日の御殿山事務所のオープニングパーティーに続いて、明くる日3日は旧知の画家たちの合同展=『和展Ⅳ』オープニングの会へと横浜へ。

驚いた。70歳になんなんとする芸術家たちは、この不安定不景気な世の中の陰で、過去よりより進化した作品群を制作し続けていたのである。お金がないのか額装がないことにも驚いた。それでもその作品群は「光栄」を放っていた。

ここのところ周囲の文筆を続ける者の「進化」を感じて嬉しく思っていたが、ここでも「新しいもの」が生まれていると感じた。

とにかく印象が「フレッシュ」。まるで新鮮な果実のようだ。これを見る人たちに、若い作家の作品と感じさせるようなセンスとエネルギーがそこにはあった。

だがしかし、よく見るとそれは違う。

そこにあるのは、何かを作ろうとするものたちの無限の問いかけと追求の跡だった。

もちろん制作点数は若い時のようにはいかないことだろう。しかしそこには深く煮詰まった、澄んだ湖底を感じさせるような「風景」、「感触」があった。

そして、間違いなくそれは、長年の創作鋭意の連続によって到達した「境地」によるものだった。

抽象アートの実験を繰り返していくと、そこにあるべきものはいかなるものになることになるのか。

色彩の「抽象性」?

構図の「恣意性」?

それともそういったことの「否定」?

驚くべきことに、そこに強く現れているのは個々の作家の「人間性」とその感覚的「昇華」である。

「和展」と名付けられたこの合同展は、複数の作家の作品を鑑賞させることによって、そこに通底する深い精神を伝達することに成功していると感じた。

自然、焚き火に劣らぬ、ものすごく大きなエネルギーをいただいて帰路に着いた。

やはりパーティーをやるよりパーティーに行く方が愉しい。

どの作家の作品も一品ずつ欲しいと感じた。

芸術家たち存在に感謝する。

彼らは数10万の価値があるものを10万円で売ろうとしていた。

『和展2023』は9日まで。横浜長者町吉田中学校前、ギャラリーShimizuにて開催中。