2日の御殿山事務所のオープニングパーティーに続いて、明くる日3日は旧知の画家たちの合同展=『和展Ⅳ』オープニングの会へと横浜へ。
驚いた。70歳になんなんとする芸術家たちは、この不安定不景気な世の中の陰で、過去よりより進化した作品群を制作し続けていたのである。お金がないのか額装がないことにも驚いた。それでもその作品群は「光栄」を放っていた。
ここのところ周囲の文筆を続ける者の「進化」を感じて嬉しく思っていたが、ここでも「新しいもの」が生まれていると感じた。
とにかく印象が「フレッシュ」。まるで新鮮な果実のようだ。これを見る人たちに、若い作家の作品と感じさせるようなセンスとエネルギーがそこにはあった。
だがしかし、よく見るとそれは違う。
そこにあるのは、何かを作ろうとするものたちの無限の問いかけと追求の跡だった。
もちろん制作点数は若い時のようにはいかないことだろう。しかしそこには深く煮詰まった、澄んだ湖底を感じさせるような「風景」、「感触」があった。
そして、間違いなくそれは、長年の創作鋭意の連続によって到達した「境地」によるものだった。
抽象アートの実験を繰り返していくと、そこにあるべきものはいかなるものになることになるのか。
色彩の「抽象性」?
構図の「恣意性」?
それともそういったことの「否定」?
驚くべきことに、そこに強く現れているのは個々の作家の「人間性」とその感覚的「昇華」である。
「和展」と名付けられたこの合同展は、複数の作家の作品を鑑賞させることによって、そこに通底する深い精神を伝達することに成功していると感じた。
自然、焚き火に劣らぬ、ものすごく大きなエネルギーをいただいて帰路に着いた。
やはりパーティーをやるよりパーティーに行く方が愉しい。
どの作家の作品も一品ずつ欲しいと感じた。
芸術家たち存在に感謝する。
彼らは数10万の価値があるものを10万円で売ろうとしていた。
『和展2023』は9日まで。横浜長者町吉田中学校前、ギャラリーShimizuにて開催中。