成績を上げたければ、もしくは学力を高めたければ、長時間机に向かうことが必要になる。
そしてそれができるのは何らかの目標があってそこに「意志」の力があるからである。
小学生に、興味を持たない学習をやらせようとするのは骨が折れる。
彼らは言われないと先ずやらないから「強制」になる。
しかし、中学生も後半に入れば、もう他人に強制されてもやらない。少なくとも積極的にやろうとはしない。
ここでは、やらされるのではダメなのである。それをやるのは自分の意志だけである。
1学期も半ばを過ぎて疲れているのか、学校からの宿題が多すぎるとこぼす生徒が多い。確かに聞いてみると多い。またその提出の規定が事細かすぎて、これはいったい何のためなのかと思ってしまう。特に進学校や大学附属校は酷い。無意味な強制が多すぎる。
例えば、数学課題で問題集の100問を指定し、「まず問題を全部きちんと写して、その上で問題を解き、解答で答え合わせをしてできなかったところの解説を読みそれを赤字で写す。これを全てやらない者は平常点をゼロにする」とこう来る。確かにこれは基本的な学習法の一つではあるが、この通りにやると膨大な作業時間がかかる。また数学が得意な者はなんとかこなせるであろうが、そうではない者にとっては、苦悩以外の何物でもない。かえって数学学習を断念する者も出るだろう。
それにしてもなぜ100問なのか?それは何を基準に定められたのか。なぜ良問10問とかに絞らないのか。あるいは、なぜ「試験にはこの100問から出すから良く学習しておいて」として済まさないのか。どうして内申点に関わる平常点の脅しがそこに加わるのか。
教師が自分の事務作業が多いことにストレスを感じて、その発散のために生徒たちに事務作業を課してその鬱憤を晴らしているとしか思えない。
どこまでも続かざるを得ない、教師の方が「上」だから、生徒はどんなことでもいう通りにしなければならないという、こっちは先生、気をつけ!前へならえ!という自覚化されない精神。だからこそそれが嬉しくて教師というものをしている者たち。
このほかにも教師が決めたヘンな宿題は多い。「夏休みの宿題は、L1~L5まで教科書を5回写してくること。これは2学期の平常点に加算されます」。
なんで音読じゃあなくて、5回の筆写なのか。そこには漢字を10回書かせるのが宿題と思い込んでいる精神がある。
ヘンな宿題を出した場合、それは教室内でと異なり教室外へ流出するものだから、親たちがこれはおかしいと思う場合、すぐこれをネットなどを通じて告発するべきだと思うが、そうすると「上部団体」は急に宿題の全面禁止とか言ってくるのか。いやいやこれは中共政府と同じ決定になるから嫌だろう。
子どもの成績はたくさんやらせれば確かに上がる。これはどの教育者も否定せざるを得ない事実だろう。
でもね、もしそれが子どものアタマが良くなることにつながっていなかった場合はどうするんじゃい!
子どもに無理で無意味なことを課して、その言うことを聞いた者を「優秀」として評価する。
これはアタマが良くなることとカンケーない。
良く考えてみてほしい。
例えば高校古文の予復習。ノートに原文を2行おきに写し、その左右に、品詞、活用形、語の意味などを書き込み、現代語訳をつけることが要求される。これは予復習で2時間はかかる。週2回あると4時間である。それにこんなことは国文科に進んでからやれば良いことで、そうではない生徒にはカンケーない学習である。
数学。前回出された課題を全問解いて、授業で解説を受けて家で復習する。これだって合わせて2時間はかかる。週4時間だとすると8時間必要である。
英語。これこそ時間がかかる。教科書を音読して単語の意味を確認して授業に臨み、その上で帰宅後さらに音読して単語と文法を復習する。こんなの3時間はかかるから、英語が週に5時間あると15時間必要になる。さらに理科や社会も予習と復習をすれば、各々5時間で10時間かかることになる。
合わせてざっと週に総計37時間。普通の生徒が学校の言うことを聞いて成績を安定的に良くするためには、このような学習時間が必要ということになる。
しかしだね。週に37時間てことは、月〜金と1日4時間20時間やったとして、土日には17時間の学習が必要ということになる。さらにそこに提出期限と成績評価がつく大量の課題。
マジかよ。クラブ活動なんてしているヒマがないじゃん。土日も遊びに行けないじゃん。本も読めないし自分の趣味をしている時間もない。だいいちアタマが良くなっていくヒマがない。
これをやるには、毎日5時までに真っ直ぐに帰宅し、12時に就寝するまで、7時間のうち4時間を学習に当てれば、食事と入浴と身の回りのこととかで2時間くらいかかるだろうから、最後に残った自由時間は1時間以下ということになる。自分のやりたいことをしたければ睡眠時間を削るしかない。金曜夜からは日曜夜まで一日7時間の学習が待っている。
高校生はまだ成長期なので、最低8時間以上寝ないと眠くなる子が多い。クラブなどで帰宅が遅くなれば、すぐに午前様になってしまう。
充分に睡眠をとる時間があり、適正な授業と課題が与えられるのでなければ、子どもたちの多数が「破綻」するし、もしそれができたとしてもつまらないことでも忍耐する、どちらかというと独創性の弱い人間にされてしまう。
教師たちに聞いてみたい。
アンタたちの要求通り、全教科こなすとすると、いったいそれが授業時間以外の学習に総計何時間がかかることになるのか考えてみたことあんのかと。
将来過労死するサラリーマンの養成教育は続く。
それはなぜなのか。