サイコロ暗算 14×16×17×18=? | JOKER.松永暢史のブログ

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サイコロ暗算も20面体サイコロ4個になるとややキツくなってくる。たとえば、

 

12×17×19×19

 

一見こんなの暗算できるかと思う人も多いと思うが、これは、

17×6=102   19×19=361 と知っていれば、

12×17×19×19=17×6×361×2    

          =722×102 となり、

          =72200+1444=73644となる。

だが、こうして紙の上に書いて計算してみせれば楽なように思われるが、実は722×102を暗算で求めるには、一枚上の能力がいる。

それは暗算でこの答えを出すには、まず722×100の暗算結果を72200とアタマの中でイメージ記憶しておいて、その間に一方で722×2 =1444と暗算して、これをアタマの中で72200に加える「作業」を行わなければならない。

この時には、まず72000に1000を足し73000を再記憶し、同時に200+444=644に繰り上がりがないことを確認しつつ、73000+644=73644とやって求めるが、やってみればわかることだが、慣れないと先に計算した数値をもう一つの暗算中に忘れてしまって「やり直し」になる。そして桁数を間違えないようにアタマの中でしっかり数値を見て足し算するのは、それまでとは違ったアタマの働きを求められるが、これはドリル学習では絶対につかない能力である。しかしこれを、アタマの中で、「72200円」を1万円札7枚と千円札2枚と100円玉2個とイメージし、そこに722×2=1444の暗算結果を、これまた1000円と400円と44円と見ることができれば、7万3千6百44円と暗算できるようになる。しかもこれは、自分でも驚くくらい高速のアタマの働きで、いちいち書いている場合と異なり、光速的に瞬時で答えがパッと出てしまうようになる。

もし、そのようなアタマの使い方ができるようになると、もうその子は数値計算に関する算数や代数の学習で苦しむことは無くなってしまう。分数計算も、因数分解も、根号計算も、単純なのは見ただけで答えがわかってしまう。もちろん複雑化しても高速で答えを出すことができる。ミスも決定的に少なくなる。成績も向上する。しかし、肝要なのはそのようなアタマの使い方である。

日常生活でも何かを考える場合、一つのことだけを考えるのではなく、複数のことを考えて、その結果を検討して答えを出すことは多い。そのためには、次の考察を行なっている時に、その前に行った考察の内容をはっきり覚えている必要がある。それには「コトバ」だけではなく、「イメージ記憶」ができる能力が必要である。自分の考察結果をイメージ記憶できることーこれは複雑や深い事柄の考察に欠かせない能力であるが、単にドリル学習をしているだけでは決して身に付かない力である。いや逆に、ドリル学習ばかりやり続けると自然この力が滅却する。つまり、アタマの中でイメージを用いて考えることができなくなる。そしてそうなれば、高校高学年の数学学習や物理の学習が困難になる。数値からグラフや具体像を想い浮かべることができないからである。そして、このイメージ力のベースがなければ、何かを発想して思いつく力も減退する。無理に過剰な暗記学習などの受験勉強した高学歴者に発想能力が乏しい人が多いのはそのためである。かえってそんなには勉強しなかった者に、その結果高い学歴を有さない人に、発想力の高い人間が出る。

しかし逆に、もしもこのような能力を小学段階で子どもに与えることができれば、その子どもは数学にも強くなるし、アイデアを出す元になる能力も具備することになる。

それを知ってか知らずか、多分薄々とはそれを知りつつ、ドリル学習と単純暗記学習ばかりやらせることで、自分で考えたり発想したりする力が弱い人間が育成される。そうした人間は社会の矛盾点など考察することはできないから、上の言うことを信用してその命令通りに活動せざるを得なくなる。言うまでもなく、これは我が国の教育の根幹をなすものと一体化している。「考えるな、疑問に思うな、言うことを聞け、信用しろ」。漢字は同じものを繰り返し20回書いて来い。なんのためにやらせるのか、家でも「バカ」になる練習を押し付けるのか。単純作業に慣れさせるためだけで、アタマの働きが良くなる学習にはならない。発想力を求めるAI未来社会を担う世代のための「教育」になっていない。9×9=81は知っていても、12×7となると、「え〜っと」とすぐに暗算で答えが出せない。そんなのヘンではないか。

さて、もう一つ行ってみよう。

 

14×16×17×18

 

これを先の17×6=102を用いて解こうとすると、

14×16×17×18=7×2×16×17×6×3

          =21×32×102

          =(640+32)×102

          =672×102

          =67200+1344

          =68544

 

と暗算することができるが、最後の672×102をするときに、672×100=67200(円)を覚えており、その上で672×2を暗算で出して加える能力が必要であるが、672×2は、670×2=1340と2×2=4を瞬時に暗算加算することができなければならない。これも下一桁から繰り上がりを考慮しながら計算していくやり方では無意味に時間がかかる。そしてそこで時間がかかると前に出した67200を忘れてしまう。

さて、実際はこうは計算しない。

実はサイコロ3個の学習が終了している者は、7×8×9=504、2×7×8×9=1008と知っているので、

14×16×17×18=2×7×8×9×17×4

          =1008×68

          =68000+544(8×68=8×70−8×2=560−16)

          =68544

と求めることができる。しかし実はサイコロ4個をしばらくやると、  

17×17×17=16×17×18+17=48×102+17=4896+17=4913などと知っているので、

14×16×17×18=14×4896=14×5000―14×104=70000―1456=68544と速算する場合もある。

以上を読んで驚いたりアタマクラクラになったりした人も多いと思うが、これは全ての子どもができるようになることなのである。

小学4年くらいで、サイコロ3個は当たり前になり、中学入学までには4個で暗算できるようになっている。

そしてこれができれば数学での落ちこぼれは絶対にない。

しかも子どもはサイコロを転がすのであるから、遊びやゲーム感覚で行う。

カタカムナ音読と同様、どうしてこれを全ての子どもに与えようとしないのか全くの謎である。