「鍵」ーその10 | JOKER.松永暢史のブログ

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雨は上がったが空は曇っていた。

母とAに野反湖のことを話すと、「行ってみよう」ということになった。

それなら早く出発しようと、浴衣を服に着替えて、先に帳場で支払を済まし、荷物をまとめて部屋に忘れ物がないかを確認し、玄関広間で待っていると、そこは出発するお客やそれを見送る旅館の人や、お土産物を買うお客などで、やや賑やかな雰囲気だった。母たちが出てくるのには時間がかかった。出発する老紳士が番頭風の男性に話しかける。

「台風はどうかね?」

「まだ今日は大丈夫そうですが、明日はだいぶキャンセルが出ています」

ニュースでは繰り返しこの台風の危険性を訴えているのが印象的だった。だが、今のところその気配はない。野反湖を12時までに出発できれば3時頃までには帰宅できる。5時から生徒の授業がある予定だ。

法師温泉を後にして、17号を水上方面にやや戻り、赤谷湖を巡って湯宿温泉から中之条湯河原線・県道53号へ。ここには様々なワークショップがある「たくみの里」がある。法師温泉からは約10kmで、以前に寄ったことがある。ここから野反湖まで約40kmくらいである。

三国山系西端で、北に聳える白砂山(標高2139m)などの山裾を迂回するために山道を南西に進む。約10kmで、中之条市街に入る前に四万方面へ抜ける県道353号線に入ってさらに約5km南下し、四万川と上沢渡川との合流地点で、県道55号中之条草津線で今度は北西へ向う。この二つの川はいずれ南を東西に走る吾妻川に合流する。吾妻川はさらに下流の渋川利根川に合流する。でさらに約10km走って、これも吾妻川に流れ込む白砂川を渡って国道292号線へ。ここでやっと北東に向うことになる。実はこの区間県道55号線と国道292号線は重複しており、新しくできた292号線は『浅間・白根・志賀さわやか街道』として、すぐに草津方面に別れて行き、ついに野反湖方面旧道55線の上に造られた国道405線になった。前に書いた通り、新潟長野側でも野反湖のすぐ下流地域で、群馬側は野反湖でぷっつり切れている線である。しかし、道をどんどん登って野反湖に近づくとそこは雲の中だった。