現行企業団体トップのトップは本当に「バカ」 | JOKER.松永暢史のブログ

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裁量労働制の対象の拡大法案を安倍首相が断念した。しかし、高度プロフェッショナル(残業代ゼロ)制度は維持する方向性である。

この首相は、あるいはこの首相に提言するブレインは本当に「優秀」である。

これについて、経団連、経済同友会、商工会議所の代表がそろって遺憾の意を表した。彼らはこれからもこの法案の提出を断念しない意向である。

経済界トップも政治家も「残業代ゼロ」で働いている(来た)。また世の中には時間ではなく働く職種もある。だから、労働者の上位層(年収1075以上)には残業代を払わないようにしたい。これなら年収がそれ以下の人たちは目をつぶるはずだ。だから選挙も大丈夫だ。そう考えたに違いない。

労働者を、経営者や政治家と同等扱いするのであれば、かえって多くは企業体から離脱していく可能性が高い。労働者は会社のために働いているのではない。自分の人生のために働いているのであるから、これはその人生時間を制限しようとしていることになるからである。

これは経営側からしてみれば当然の方向性であるが、人手不足を安い外国人労働力の国内誘致によって打開しようとする経営者団体同様、この人たちは本当に「アホ」である。いや、「傲慢」である。アタマが古い人たちであるとも言えよう。

賃金を高くすると成長が成り立たない企業は、そもそも労働者を低賃金で長時間拘束することによって利潤を上げることが前提という、旧態然とした奴隷経営思想を未来的にも展開できると甘く考えている組織体である。そんなことは、人材不足に陥った、流通業界の再編を見ても、明らかに誤った「思想」なのではないか。そんなことよりも新しいビジネスを展開できる人材を集めようとすることの方が得策なのではないか。

世は、ネットで世間・世界ビジネスできれば、企業に勤めずに自分のやりたいことを追求できる時代に入っている。

また、企業内の金融ディーラー、企画担当者などは、やろうと思えば独立してフリーエイジェント的な職業選択も可能だろう。一企業に拘束され続ける理由はない。

そもそも我が国の教育システムに順応したがゆえに、真面目に働き社会上層部を守り続けた経営トップは、最早、「状況」が過去と全く異なることに、東電、東芝など同様、自覚的でない前近代的企業体質精神構造なのではないか。

これが通れば、やがて彼らは、それを徐々に改編して、その適用対象を拡大して行くつもりだったろう。そしてそれがブラックな体質の下品な企業に悪用されることは目に見えている。

さらに彼らは、AIの積極的利用によって、管理職の「削減」を図るだろう。

しかし、そうすると、いよいよ先見的で優秀な人材は、そうした企業には見向きもしなくなるだろう。

と言うか、そうしたことが明らかな企業体は、その「反社会性」のために、やがて確実に顧客と労働者を失って行くことになるだろう。だから、そうなると困るから、予め法令で国内全ての企業がそうするということにして、従順な労働者に諦めさせたいわけである。

教育現場を取り囲むシステム同様、自己の社会的立場状況により、古い考え方に固執せざるを得ない企業体は、この先確実に滅びゆく方向性にあると言える。いや、すでに今のままでは滅んでしまうので、少しでも既成の枠内で生き延びる方策を画策しているのかもしれない。

国家国民のためであるはずの企業精神(たとえそれが「表向き」のことであっても)が、ただ総体的な利潤を上げることだけを目的にするものになってしまう。そしてそのことに「政治」を利用しようとする。

「転回点」はそこまで来ている。

バカなことを平気で口にせざるを得ない企業トップを心の底から軽蔑、バカにしよう。

彼らには未来日本を背負う「展望」がない。

彼らは、既成の社会で、たまたまちょっと「優秀」であったに過ぎない存在なのではないか。

関係ないが今日は満月である。