都立高国語入試作文問題について | JOKER.松永暢史のブログ

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そろそろ終わりに近づいたが、ここのところずっと都立高国語入試問題の過去問対策指導を行っている。その「仕上げ」にやっているのが、200字の作文記述なのであるが、これには微妙なランキングがあって興味深い。

ご存知の方も多いだろうが、現在の都立高入試は、理社は全学共通であるが、英数国については、日比谷、西、国立、戸山、青山、立川、新宿、国分寺、墨田川、国際が自校作成問題で、白鴎、両国、富士、大泉、武藏はグループ作成問題となっていて、その他は共通問題といった、おおよそ3〜4のランキングを呈している。

「3〜4」というのは、最上級校の中にも難度の差があるからで、たとえば西や日比谷の作文問題(250字)では、読解力文章力とともにかなり優秀でなければ合格者でも書ける者が少ないようなレベルで、これと同じ出題をそれ以下の学校がやっても生徒が誰も書かなくなるような代物である。一言で言えば、やや難解な文中の内容について具体例をあげて自分の意見を述べることなのであるが、でもこれは東大進学を目指すには欠かせない力である。いや、大学というところへ進むために18歳までに備えておかなければならない力と言っても良いかもしれない。この他にも、80字記述などもあり、自校作成問題の作文記述はかなり要求レベルが高い。

さて、その下の「グループ作成」問題出題校の作文記述では、これまた本文内容を元に自分の意見を書くものなのであるが、本文もやや難解ではなく、これはなんとか書けそうなものなのであるが、国民の国語力の相対的低下を反映して、このレベルの受験者たちにはこれでも難しいらしく、ある塾の教師などは、指導のしようがないらしく、「誰も書かない。だからなんか書いただけで点数になる」とのたまったそうだ。

さてその下の、というよりも、標準的な国語出題では、「本文内容を読んで、自分の意見を発表するとしたらどのようなことを述べるか(200字)というもので、これまた「具体例」のオマケが付く。相応しい「具体例」を得るには発想力が必要になる。でも、これこそ、本文内容の要約的部分を用いて、それについての賛意でも述べて、その理由として自分の体験を述べて済ませれば良いから、しゃべることができれば書けそうなものであるが、ここでアタマを抱える生徒は実に多い。「オイオイ、こんなところでアタマを抱えては、キミは高校進学後に授業について行けなくなるぜ」とついおせっかいを言いたくなるが、現状レベルはこのようなのである。

上級校の国語教師たちが、生徒たちの答案を真剣に採点している最中に、「おっ!」と思わせる解答を見出して、予め東大合格予定者のリストに入れてニンマリする姿が想像されるが、それが極めて少ないことはこれまた想像に難くない。