焚火教育の次は囲炉裏教育だというので、その実現を模索しているが、囲炉裏ができる様な古民家を借りることは意外となかなか難しい。ほぼ話が決まっても、親族からの反対や何やらと覆り、なかなか実現に至らないようだ。
日中、自然の中を歩き、谷川のせせらぎを耳にし、おまけに川に飛び込み、夜、囲炉裏端に集まり、楽器を奏でて歌を歌う。長期の勉強合宿を開くこともできる。これなら室内遊びばかりで活力がない子も一発で活性化させることができる。
てなわけで、藤野は「無形の家」での「おひさまのおうち」主宰の囲炉裏の会に参加取材した。
7家族、子どもは12名ほどであろうか。
ここは、築100年ほどの古民家で、二階もあり広くてなかなか立派である。
一辺150㎝くらいの大きな炉が切ってあり、その上には換気扇も付く。
入り口土間を上がったところの、そもそもそこに囲炉裏があったのではないかと思われる場所に、まるで暖炉のように大きな薪ストーブガある。その前には合成黒革のソファーがあった。筆者は自分の居場所をそこに決めた。
すぐに火を起こし、樫の類いと思われる大きくて堅い枯れ木をくべて行く。
今眼の手術を終えて最初の焚火の炎が目の前にある。
その炎は何とも言えず美しい。
心が朗らかになる。ホネまで癒される。
周りでは広い室内を子どもたちが走り回る。
台所と囲炉裏端ではお母さんたちが、炭火バーベキューの準備。この人たちの共通点は自然食志向であることであるが、そのことによって子どもたちは感性の基となる味覚を健全に発達させているようだ。ちなみに囲炉裏では炭しか使ってはいけないとのこと。
そばに来た子どもたちに、筆者考案の竹棒連結バーベキュー串でソーセージの焼き方を教える。
ソファーに座っての焚火。やはり、薪ストーブは良いねえ。
囲炉裏は炭火。焚火は薪ストーブ。これなら問題ない。
囲炉裏端の子どもたちは本当に愉しそうで、昔の日本人の和やかな集まりのムードが、各人の体から逆噴射される気として、表に現れていた。
それにしても、道路脇「囲炉裏あり」の看板も目立つ。こういうところを利用して適当にやる方がお金もかからず都合が良いかもしれない。でも、問題は、男たちの、「自分の手で作って遊びたい」という抑えられぬ欲求である。