V-netに広島からではなく鳥取からカキが届いた。
「花御所」と言う名産品である。
花御所は飢饉のあった天明年間(1780年代)に、野口ではなく野田五郎助という人物が、奈良から持ち帰った一枝を地元の柿の木に接ぎ木したのが初めだと言う。
鳥取は、梨や葡萄や西瓜ばかりではない。
さっそく食して見ると、かつて味わったことのない甘さである。
刻んでライムをかけて供せば、誰もがパパイヤと間違うことだろう。
生徒の中には、「この世のものとは思われない美味しさ。ということは、これを食べればあの世に行けるということか」と呟く男子もいた。
とにかく女の子たちにメチャ受け。
やはり女子の方が味覚が鋭いのか。
当然大人、先生方にはメチャ受け。
皆、「信じられない甘さ」と口にする。
二箱100個近くを皆で分けて家の人にも食べてもらった。
皆、OK!すごい!
今年の秋は地方友人たちのおかげで本当に美味しい果物を充分食べることができた。
本当に有り難いことである。
柿の次は温州蜜柑。
これも収獲の度に産地から直接送ってくることになっている。
そうして冬を過ごせば、早春、充分花粉がやってくる頃、セミノールがやってくる。
セミノールを味わっていると、スイカがやってきて、夏みかんがやってきて、桃がやってきて、梨がやってきて、葡萄がやってきて、リンゴがやってくる。そうしてそのリンゴの後に、熟し柿がやってくる。
私は滅多に甘いものを口にしないが、果物だけは例外である。
花御所ー砂糖のなかった時代、これほど甘いものはまず他になかったと思わせる甘さである。足利義満もこれを食したか。
飢饉のあった天明期、奈良でこの柿を食した五郎助翁は、たまらずその一粒ならぬ一枝を鳥取に持ち帰ったか。