西洋人がカードゲームで遊びながら口にすることから「トランプ」と呼ぶことになったが、そもそも英語のtrumpはtriumph(下着メーカーの名前ではない。「大勝利」、「大成功」、「大業績」の意)を語源とし、「切り札」、「素晴らしい人」の意である。すぐにtrumpetが想起されるが、これはTrump氏が愛し可愛がるペットではなくて「らっぱ」である。そして、これを吹くものを trumpetter(大きな音を出す者)と言う。
我が敬愛するバルザックの代表作の『ゴリオ爺さん』と『浮かれ女盛衰記』にヴォートランという怪人物が現れる。この人物は脱獄犯であるが、あらゆる囚人の金を預かる胴元であり、強靭な肉体と驚くべき犯罪構想力とその実行力を持ち、パリ警察もその対処に手を焼くのであるが、この人物の陰の呼び名が、「トランプ・ラ・モール」である。これには「死神殺し」「不死身」などの訳語が与えられるが、英語では「trump the death」とでもなるのか。
かねてより佐藤優氏が指摘していた通りに、既得権益をひっくり返すと主張するトランプ氏が「大勝利」した。東部を中心としたエスタブリッシュメント層の指示を受けたクリントン氏は落選してしまった。
可笑しいのは、マスメディアが最後まで事実を伝えていなかったことが明らかになったことだ。事前には全マスコミがトランプ批判と不支持を打ち出していた。
これは何に似ているのであろうか?ヒトラー登場?田中角栄登場?石原慎太郎登場?橋下徹登場?
筆者はナポレオン3世説をとりたいが。
ともあれ、TPPもやめると言っているし、日本から軍備を引き上げることも口にしているし、米国の政策が180度転換される可能性が高いということである。つまり、「混乱」が起る。混乱が起ると、強いのは、臨機応変で勘が良い人であるから「不死身」のトランプ氏は適役ということになるのか。
トランプ(切り札)はその最高位として「Joker」を加えることがあるが、これは本家タロット大アルカナでは「愚者」であり、その意は、「自由、型にはまらない、無邪気純粋、天真爛漫、可能性、発想力、天才」などである。
なるほど、これまでトランプ氏のしてきたことが「Joker」であるとすれば、混乱した世の中で必然的に「マトモ」ということになるのか。
バルザックのトランプ・ラ・モールは、成り上がって国家警察幹部になった。
トランプ=「切り札」は何になるのか。
いずれにせよ、Joker で trumpetter
「切り札」で「大成功」?
勝因はこの名前のイメージなのかもしれない。
それにしてもアメリカの民主主義は面白い。
やはり生産しないで金融で儲けようとすることは多くの人には悪いことと映るらしい。
また、少なくともアメリカ人はもうメディアを信用していない。
以上、「JOKER」が書いた。