ヒラメられたハナシ | JOKER.松永暢史のブログ

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あまりくだらないことばかり書くな!という呟きがあるようだが、「冗談」でくだらないことを書くのはマトモなことのような気がする。ホイジンガでも読み返してつかわさい、ぽい人が、なんちゃって。
あらゆる閃きは華麗であるが、皆さん好くご存知のように、ヒラメは左でカレイは右である。
なんちゃってなんちゃって親子音読会が続く鳥取では『源氏物語』音読。
やはり、究極の音読のテキストは、古今集、源氏物語、そして徒然草だ。
それはこれらが最も良く音読されてきたテキストだからである。
それにしても紫式部には本当に何度でも驚かされる。
そこにはレトリックを超えた「魔法」がある。
なんちゃってったらなんちゃってったらなんちゃって。
やはりキリロラのCDを聴くと脳波が乱れるようだ。
というより、何やってもカマワない気がしてくる。
平らな目を「ヒラメ」というのか。それとも開いた目を「ヒラメ」というのか。
「ヒラメキ」と「ドヨメキ」はどういう関係なのか。
前回ハイハイしていた子が、それを忘れて、まるでヨッパライのようなしかし意外としっかりとした足取りで歩いているのを見るのは驚きである。そしてその子の目の光り方がこれまでとまるで異なっていることにも驚かされる。
さらによく発見しようとする目。このことは同時に記憶力の発達も促していることだろう。
この子に、古今集や源氏物語の音読を聴かせる気分は最高である。
すでにカタカムナができるようになっている子も多い。
まあこれでだいたい旅の目的達成。机から離れて気分転換できて「充分」なのであるが、この上で、毎日別の温泉に案内される。そのどれも驚くほど泉質が良い。
しかしさすが山陰、一点「陰」があった。
それは、そもそも釣りにかけては常に気合いを怠らないが、いつも筆者が行くと、その気合いにさらに気合いを入れていよいよ本物の「釣り師」に変身する宿のご主人に、珍しく全く釣果がなかったことだ。
それもそのはず、遠地点前の上弦で、長潮、小潮、若潮では、「どうにも釣れるっていうムードがないんだよな。実際誰も釣れてないし、そもそもアタリが全くない。魚がいない」。
ご主人はできた大人で、本当は全てを賭けた釣りで成果が出ないので機嫌が悪いに決まっているのに、「釣りは釣れる釣れないは関係ない。ともかく海と話をしに行くことが大切なんだ。それにこの季節メッチャ気持ち良いよ海は」とにこやかにまるで自分に言い聞かせるように口にするが、どんな日でも仕事が休みの日は朝暗いうちから海に出かけるこの男が内心悔しがっていないわけがない。
ヒラメのシーズンなんだが何のヒラメキもないそうである。
暗い室内に、キリロラの不思議な「うみのカメさま」の歌が流れる。
てなわけで今回はお刺身は諦めて、日曜日に音読会が終わったら、焼き肉でも食べに行こうという段取りになった。
しかし音読終わって宿に戻ると、ご主人が、
「先生、釣れたぜ。良い型のヒラメだぜ。」
見れば、もう流し台でアタマを落とされている。
はしたなくも思わず生唾が出るが、これから焼き肉である。
「いやすぐに食べて下さい。先生のために釣りました。いや釣れました。これでまた刺身が食べられなくなりますよ。」
聞けば、一日中浜から浜へ岩場から埠頭へ歩き回って魚がいるところを捜すから、釣りより歩いている方が多いとのこと。
どんな魚でも釣ってきたばかりの魚の刺身は特別に美味い。
それは家の食卓や料理屋や寿司屋で食べる魚とは全然違うものである。
しかも今日は何とヒラメである。
珍しく「いただきます」と心から口にする自分がいる。
ヒラメは柔らかくそしてコリコリしておまけに上品に匂いやかで口の中でとろけそうであった。
「どんどん食べない」と勧められて、あっという間に半身分を平らげた。
美味い!最高である!ありがたい!
しかし、こんなものを食べると都会でふつうのお刺身を食べても全く美味しく感じられないので、セミノール中毒と同じ状態になるのである。
この後、若いスポーツマン二人を加えた釣り師一家が、ガンガン焼き肉を食すのを前に手も足も出ない自分がいた。
もうお腹も気持ちも一杯であまり食べなくても良くなってしまっているのである。
釣り師にヒラメで完全に釣られてしまったのであった。