ヒヨドリの飼い方 | JOKER.松永暢史のブログ

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筆者の「畑」は、ベランダと玄関先のプランターであるが、昨冬にベランダでブロッコリーを育てていると、これが鳥に食われているのを発見した。どんな鳥なのだろうと思っていたが、朝早く来るのか姿を見たことはなかった。
しかし、ある日レースのカーテン越しに、鳥が勢い良くシャクシャクパクパクとブロッコリーの葉を食べるのを目の前にした。
鳥は、ウグイスより二回りばかり大きいヒヨドリで、嘴で葉に噛みついて首を前後にしゃくる様子には、野性味がある。
思わず身を堅くしたが、レース越しだと向こうからは見えないらしい。一心に食べるのが見える。
試しにちょっと躯を動かすと、鳥はあっという間に姿を消した。非常に警戒心が強い。敏捷である。
跡を見ると、ブロッコリーの葉は太い葉脈を残し丸坊主近くなっており、まるでアンテナのような有様。しかし、その中にまるで坊主のように花実が残っている。
花実は食べないらしいが、葉がなくなればそれは大きく育たない。
今冬は、空の鳥から丸見えでしかも人が通らないベランダは諦めて、玄関先のプランターにブロッコリーを二株植えて、四隅に支え棒を立てて、これをテグス糸でぐるぐる巻きにした。
しかれども、暖かかったためか、ブロッコリー大いに成長して、糸の隙間からどんどん大きな葉をはみ出させた。
ヒヨドリは来ない。やはり玄関先で人の出入りが多いから、と思ったら、年の暮れる頃からはみ出た葉が食い荒らされるようになった。
でも糸が巻いているところは嫌らしく、下の方の葉を潜り込んで食べている。
年中気になって見に行く。人が来ることを覚えれば来なくなるのではないかと思った。
ある日「ヒヨ」ではなく「ギイ」という声が聴こえたので、そっと玄関を出て見ると、鳥が飛び上がるのを見た。
夫婦と見られる彼らは、ブロッコリーの真上の電線にカラスよろしく止まり、私がいなくなるのを待つ風情だ。だが、しばらくいるとどこかへ飛び去った。
二羽か、デートのコースにされていると思った。多分オスが「良いところがあるよ」とメスを誘ったのである。
まだ多少は葉が残り、中央に残された花実は大きくなりつつある。
少しぐらいならいいだろう、と思った。
昨日朝ブロッコリーに水をやったが、その後ブロッコリーを見ると、「無惨」と言うしかないほどひどく激しくやられており、プランターの周辺には色とりどりのおびただしい数の丸い鳥のクソが散らばっていた。
どうやら集団でやって来て長く滞在したらしい。
花実が残るから良いけれども、これではもはや育たない。
一年の一番寒い季節。
鳥も食べ物に困るのだろう。
そろそろ公園の梅の蕾を狙って、またインドインコの大群が飛来するのか。
花粉が来るのも近いと見た。
ブロッコリーを育てて愉しんでいるのか、鳥を歓ばせているのか分からなくなってくる。
市場ではブロッコリーは驚くほど安い。