サウジに続きバーレーンとスーダンもイランとの国交断絶を発表した。
これは、サウジがシーア派指導者を処刑したことに端を発し、テヘランのサウジ大使館が襲撃されたことを受けたものであるが、シーア派の中心点のイランとスンニ派のサウジの対立に他の国家が追随する形だ。ややこしいのは、スーダンはスンニ派多勢であるが、バーレーンは王家だけがスンニ派で、国民にはシーア派が多いということである。
シリアはスンニ派主体で、ISもクルド人もスンニ派多勢ということであるから、現イラク支配勢力のシーア派を後押しするイランに対する反発なのか。イランとしてはISがイラン北部を通過する「ホラサン国」を主張して進出するから、その意味でも対抗せざるを得ない。イランは米国との冷却状態の中ロシアの援助を受け、最近ではシリア戦争関係で米国の経済制裁解除も受けていた。この国には選挙がある。
本来イランもサウジもそしてイラクもバーレーンも産油国で、その資源を大切にしていれば平和で豊かな暮らしが満喫できるはずなのに、どうして戦争ばかりになってしまうのか。
湾岸戦争はイラクが仕掛けたが、イラク戦争はアメリカが仕掛けた。
シリアの反アサド勢力は、当初は米国の援助を受けていた。
何が行なわれているのだろう。
本来中東のイスラム教徒にとっての問題の中心点は「イスラエル」ではなかったのか。
連続的に貧しくそれを脱する機会なく、未来に絶望した移民者や下層者が、「こんな世の中とてもじゃないがマトモに生きていかれない。つまり、こんな世の中が悪いのだ。この世の中をぶっ壊してやるしかない」と思うのは簡単なことであろう。そして、死に場を求めた彼らがISに簡単に賛同するのも理解できる。しかし、それがイスラム国家間の「宗派対立」に結びつくのは理解できない。だいたいから絶対王政のサウジアラビアを自由と民主を美旗に掲げる米国が擁護するのも矛盾している。おまけにトルコやロシアまで参戦する。
使っている戦費とエネルギーを貧民救済に向けた方がよほど早期に紛争が解決するはずだと思わせるからどうにもならない。
本来困窮しているのではないはずの国々が、こぞって戦争に参加する。
それはそこに「利益」があると思うから。でもその「利益」はごく一部の者たちのものであって、貧しい層には行き渡らない。そしてそのために多くの人が死に環境が破壊される。
ともあれイスラムの内部対立は、やがてこの宗教自体を急速に疲弊させる結果となるだろう。あたかも十字軍後にカトリック教会の絶対的な権力が弱まって行ったように。でも、現行社会も、手も足も出ない弱者に競争原理を押し付け、その存在によって利益を吸収することを目指すことの矛盾にやがて苛まれることだろう。
拙い考察を書き流して申し訳ない。