『教育環境設定』—イヤシロ紀行2015 第6話 | JOKER.松永暢史のブログ

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奈良精神科医の家は面白かった。
教育環境設定が御希望であるが、何のことはない、自分たちのしていることが正しいことの確認のためだった。
両親共稼ぎで忙しいが、その休日期間中の子供たちの親への「甘えかけ」は非常に強い。
週末に一切のエネルギーを発散吸収せんとする「構え」がある。
子どもたちは元気で、ここぞとばかりに主体的に振る舞う。
少しのことですぐ興奮して、怒って口喧嘩したり、泣いたり、スネたりする。
親が職業柄慣れているのか、相手が感情的に高まってもたえず穏やかに冷静に対応する。
このことで、かえって子どもは感情を剥き出しにすることが容認される。
何をするにも必ず個人個人の希望を口にするのでたえず「調整」が必要になる。
しかし、元?ADHD筆者はこれで良いのだと思う。
「この子たちもやがて大人しくなる時が来る」
子どものうちは、感情を抑えるよりも感情を表に出す習慣が、大切な感受性を育むと見る。
この家では、レストランでは各自が食べたいものがたちどころに決まった。
この家にはキャロムがあった。
先ずいつものようにコテンパチンにする。
カタカムナ音読とサイコロ学習をする。
両者とも大した吸収力と理解力である。
文章も良く書く。
おまけにこの子たちは、暇さえあれば本を読んだり楽器をいじったり何か工作を始めたりじゃれ合ったりする。
テレビは見ない。
洗濯物は各自で畳む。
食べた食器は自分で下げる。
休暇中は、家族全員でスキーなどの自然体験や社会科見学を行なう。
しかもこの子たちの母親は、もっと子どもたちに向き合う時間を増やすために自分の仕事を減らすことにすると言う。
これだけでも、世間一般から見れば垂涎の的だろうが、おまけにこの子どもたちは皆足が早く動作も機敏なのである。
近くにお住まいのご祖父さまに導かれてよく登山もすると言う。
このお祖父さまが驚くべきユニークな人物で、朝外の雨の庭をカッパを着て歩いていたかと思うと、どっさりとアスパラガスを収穫して届けに来たりする。
これは筆者同様、完全に「多動性」の方で、こうした血筋が濃くブレンドされて、元気で活動的な子どもが誕生し、しかもそれが、必要以上には規制されない状態で、生活環境内で広く活動できるように教育環境設定されているので、将来の成長のために欠かせない、エネルギーの拡大と蓄積が連続できているのだと思った。
最近、いささか齢重ねたためか、子どもたちの「ねびゆく」先の姿を想像することが多くなった。
その想像によると、この子どもたちは、全て親になり社会の前線で仕事をして行く人材になっていた。
中の一人は、仕事のできない部下をどやしつけている厳しい上司の姿になっていたが。
この子どもたちに「歓迎」されて、彼らの間に挟まって寝ることになったのだから、望外の幸福であった。
朝早く一緒に散歩に出てセミノールオレンジを絞って飲む。
焚火も一緒に行なった。
トントロもいただいた。
おまけに筆者と一緒に三輪山にも登ると言う。
いったいなんなのだ、このご家族は。