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農業高校に通う生徒の話は毎度面白い。
ここでは、ほぼ毎日実習があり、授業時間の半分は長靴で行うことが多いとのこと。
また、ここでは教室での勉強のことを「座学」と呼ぶ習慣が全国的にあるようだ。
家から15分の敷地面積最大の学校で、野菜作り、米作り、家畜飼いを学ぶ。
ここでは、生徒一人一人が1羽の鶏を飼い、これを生育させて殺し羽毟り機で羽をむしり、それを各家庭に持ち帰って食することも行われる。
今回の話は子豚の去勢。
生後一週間ほどの雄の子豚を押さえて、まずメスで陰茎を切断し、次に陰嚢を開いて睾丸をペンチのようなもので切断する。これは、成長した雄豚の匂いをコントロールするために行われるもので、あらゆる農家で無麻酔で行われていることだそうである。
—それって、自分のキンタマがえぐり取られることを想像すると、痛くない?
「そういうことは考えてはいけない、ただ作業的仕事的に速やかに終了させるように事前に座学で習う。農家では生まれるとすぐに足を押さえつけてペンチで切断みたいよ。子豚は最初暴れるが、切られてヨーチン塗られた後は大人しくなってしまう。」
座学も大切だが、実際にこのようなことが行われているからこそ、我々が食にありつけていることを実体験する機会は極めて少ない。ということは、この生徒は、他の子どもたちが体験できない極めて貴重な経験をしていることにもなる。
丁度、この日事務所に向う途中、西荻北の横断歩道で、奥の病院に親族の見舞いに向うA先生に久しぶりで出会った。A先生の専門は生物で、「生命現象とは、地球上における太陽エネルギーによって生み出されたものを自分の生存のために加工することで成り立っている」と話すのを聞いてなるほどと思ったものだった。
—お元気そうですね。今なにしているんですか?
「ハハハ、高校退職して茅野で百姓やっているよ。ブログもやっているから見てよ。野菜も買わない?」と、よく陽に焼けた顔でにっこりと話しかける。どうもやっぱり教師よりも百姓の方が精神衛生上良いようだ。
この話を、同じ良く陽に焼けていかにも判断がしっかりしていると言った印象の顔の農業高校生に話すと、
「ああそれがいいな。自然の中で自分で作って自分で食べてそして毎日焚火だ。余計な金は使わないで、できるだけ節約して生活する。それが理想だな」。
ここには珍しく自分がやりたいと思ったことをしようとしている生徒がいる。