「あなたはらっきょうの味を知っていますか?」と、尋ねられれば、多くの人が「あの酸っぱいツンとした味でしょう」と答えると思う。でも、違う。あれは漬けた酢による味なのである。
「エシャロットなら生で食べたことがある」と答える人がいるかもしれないが、エシャロットは南米原産で、らっきょうは中国ヒマラヤ原産である。
らっきょうは、ユリ科かネギ科か意見の分かれるところだそうだが、ユリもタマネギもニラもニンニクもまあ似たようなものなのかもしれない。植物の種は多様で面白い。
これらは、生で食すると味が強烈だが、一度火を通すと、マイルドな食感になる。バーベキューなどで焼いたニンニクを食べてみれば味が柔らかいので驚かされる。
では、らっきょうの天ぷらを食するとどういう味がするのか。
らっきょうの産地の男に勧められて、らっきょうを買って来た友人がらっきょうの天ぷらを作ってくれた。
これははっきり言って意外とウマいのである。
ユリでもない。タマネギでもない。ジャガイモでもない。何とも不思議な柔らかさの食感である。
味は極めて薄く、初めての人は、言われなければこれがらっきょうであるとはわからないことだろう。
そしてそこには微塵もあの臭さと酸っぱさなんてない。
味についても先入観は怖い。
らっきょうは6月が、まさに今が旬だそうである。読者も、もしこれを漬けるために買うことがあれば、試しにいくつか天ぷらにして食して欲しい。驚くこと請け合いである。