ブラックの陰の暗闇 | JOKER.松永暢史のブログ

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予想通り満月WAVEは尾を引いている様子である。
新聞などのメディアでは、意識的にか無意識的(そんなわけはあるまい)にか、事象の一面だけをとらえてその陰の部分は積極報道されないことが多いのは、日頃実感されることである。
若者を安くこき使うことで利潤を上げようとすることはどうもいただけないが、それはその労働が誰でもできる、言い換えればいくらでも首のすげ替えが可能な仕事であるはずだったからである。
ところが、現在外食産業などでは、「ブラック」と呼ばれて、時間給を上げても人手を集めることができなくなっているところが多くなっている。
ここでメディアが伝えない事実がある。
実は日本の若者の中には、最低限の仕事ができない人がいよいよ多くなっているということである。
まず職場に期日時間通りに来れない。自分の都合で急に勝手に休む。何でも言われないと自分からやれない。早く仕事に慣れて合理的に動く工夫ができない。
最近のピザチェーンレストランなどには、料理の仕方などを教えながら楽しく適当に働こうというモードで安く若者を使い続けることを模索しているところもあるようだ。
コンビニ配送のバイトをするものが言う。
「どうやっても、6時間の予定が4時間で終わっちゃうんですよね。もちろん違反とかなしの安全運転でも。でもこれが6時間かかっても終わらない人が結構いるんですよね。だから完全に働く側の売り手市場なんですよね。とにかく働ける人が足りない。僕は2時間時間がもったいないから、なんとか交渉して一日あたりの仕事量に対して支払ってもらうようにしたいんですけれども無理でしょうか。」
牛丼店バイト者は言う。
「キツいって言っても、屋根の下での作業。空調もバッチリだし、混む時間もだいたい決まっている。混む前にある程度食器サラダその他よく準備しておいて、混んでいる時はひたすら作ることに集中する。レシピだってそもそも単純なものばかりだから、いくつか同時並行で作っちゃう。汚れた器はガンガン食洗機に突っ込んで行く。客が引いたあとにゆっくりと片付けして。ぽつぽつ客をこなすだけ。これでさらに時間給が上がれば文句ないですね。あと二ヶ月やればフフフ、アジアを半年旅行して来れますよ。」
仕事のできる者は時間給が上がりさえすれば良い。しかし、仕事のできない者は、ちょっとキツければ続かなくなってしまう。そして自分の働いているところは「ブラック」に違いないと思って、やめてしまう。やろうと思っても働けないのだから、親の臑を嚙るか家でゴロゴロしているしかない。することは、テレビ、ネット、ツイット、line。これではナマの他人を相手にする仕事からはますます遠ざかってしまう。
私から見れば、気の毒なのは彼ら若者を育成しなければならない企業ではない。
気の毒なのは、ずっとそうして選択肢を持たずに大して成長もできずに年老いて行く若者たちである。
公教育が「破綻」しかけている今、今後こうした道を選ばざるを得ない若者がますます多くなってくると思う。
日頃若者に接する機会が多く、彼らのバイトの話を耳にすることが多いが、彼らに言わせれば、「恐ろしく役に立たない」人がどの職場にもいるとのこと。当然のことに、メディアはこれを伝えない。誰もこの事実には目をつぶろうとする。
看護士の世界では、日本語で行われる資格試験にパスできずに帰国を余儀なくされたフィリピン人たちに代わって、漢字が読める中国人たちが次々に試験にパスして看護士になっていると言う。そして、これを医者たちは「極めて優秀」と言っているそうだ。
メディアが、「外国人雇用促進」を歌いだすのはもう間近であると予想する。
富士山山小屋バイトを決めた君に幸あれ!
今日はリベラルアーツ上級コース。例によってニーチェとラブレー輪読予定。