公開試験 | JOKER.松永暢史のブログ

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○15日 04:16

公立中3生徒の中間試験で驚いた。
試験前に、「数学の予想問題を一緒に解いて下さい」と言われて付き合ったが、試験後にそれと全く同じ出題でテストが行われたことがわかった。予めテスト前に出題問題を教えるのである。しかも全く出題そのものの形で。これは「漏洩」ではなく「公開」である。さらに驚いたのは、ほとんどの教科で同様に事前にテスト出題問題を配るのである。つまり、これはもはやこの学校だけで行われていることではないだろう。
生徒の質が悪くて授業にならない?その可能性は充分にあるが、教師が充分に教えられているのかどうかも充分疑問である。いずれにせよ、双方にとっての中心的懸案事項は内申点である。教師にしてみれば、生徒の成績が悪ければ上からにらまれる。生徒にしてみれば学力が足りなくて内申点が低くなればより良い公立校を受験できない。その思惑の解決策がこれである。
試験問題は親の目にばかりか要求されれば教育委員会にも提出しなければならないだろう。でも、「事前公開」の事実は、生徒から聞いてこれを知った親にしかわからない。親は「まあ仕方が無いか」「成績が良ければそれでいいじゃない」と思うはずだから、つまり校外にこの事実はまず口外されない。
考えてみれば、そもそも学校定期テストでは、事前にテスト範囲が細かく提示されるものだし、また先生の中には「このページが特に大切です」とか「ワークの12ページから17ページから出題します」とかと親切に教えてくれる人もあるだろうから、事前に問題が公開されているのもまあ問題がないと言えば問題がないようなものなのだが、それにしても数学のテストで数値までも全く同じ問題が出題されるのであれば、他の暗記教科と同様に、式や答えの数値を暗記して得点しようとするものが多く出るだろう。これでは点数はとれるようになっても全然数学ができるようになることにならない。その場は良くても先に繋がらない。
基礎学力のない生徒と、指導能力が足りない教師と、全く改善されない教育シフトの三つの要素的原因の重合帰結がこれであると思うと、政府がやがて我々の子どもたちを戦地に送る国家に向かわせようとすることに無関心な人々と同様に、日々の生活に追われて大切なことを考えることを忘却せざるを得ない人たちの姿が浮かび上がってくる。
先の件は、実は中学校よりもその下の小学校段階において発生していることであると思うが、もはやこれ以上基礎学力を確実に与えてはくれない教育はやめるべきである。本来もう少し読み書き計算がしっかりできるようになるはずの子どもたちを、公教育の側が見捨てるのはあまりに忍びないことではないか。

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上級コース『ニーチェ/ラブレー』は、24日が休講で31日に代講する。
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☆18日 20:57(367102km)