このブログでも書いた通り、今年は音読と焚火にさらに力を入れたいと思っている。
音読は全ての学問の基である日本語了解能力を高めるため、焚火は精神の活性化のためである。
という意味で、以下文書を用意した。
音読講演と指導は、月一回くらいのペースで連続的に行う予定であるが、ある程度参加者がまとまって採算が合えば、全国どこへでも出張する所存である。興味のある方、並びに団体は、V-net教育相談事務所まで遠慮なく問い合わせして欲しい。
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カタカムナ音読法
この音読法の特色は、日本語を一音一音切って読むところです。「や ま と う た は‥…」と一音一音切って読むところです。すると日本語が、これまでとは一味違った深みがあるものになり、意味が明瞭に伝わるようになります。同時に、日常でも日本語を耳で聴く能力が高まり、それまでよりもはるかに人の話がよく分かるようになります。
これは実は、私たちがふだん何気なく使っている日本語が、一音一音にニュワンスがあり、それが繋がって意味を表す言語だからなのです。「は な」「は ね」「ね こ」「た こ」みんな一音一音切って読むと、不思議とよく意味が通じる気がします。さらに、日本語の特徴の一つに助詞(て、に、を、は)と助動詞(れる、た、だ、ない)といった付属語の存在があります。これらはおおむね一音か二音でできていることが多いのですが、これらがしっかりと発声されて使われることで、意味の伝達が大きくなるのです。同時に本来の日本語の感性を取り戻すことができます。
また頭蓋内ではっきりとした音を響かせることによって、主として言語野を中心にして脳を活性化させます。つまり、アタマが良くなります。私の生徒たちに言わせれば、音読法をした後は、「話す前にあまり考えなくても、言葉を直感的に口に出せるようになった」そうで、どの子もそれ以前よりはるかに口達者になります。また話すことが明瞭でシャープになります、
このためには、やや特殊な練習法が必要です。顎の形と唇の使い方を意識的にして、正確に発声する練習です。
最初は母音から、そしてそれができたら次は子音を、一つ一つ区切って読む練習をします。やったことがない人は最初は多少とまどいますが、やがてまるで自然に歩くことができるように全ての人ができるようになります。
次に、一音一音がランダムに出て来る古代語=カタカムナの音読練習をします。実はこのカタカムナは、上古から伝わると思われるもので、日本語の原音の一つと言えるものです。
さて、カタカムナを読んだ後、『古事記』や『万葉集』を音読すると、ほぼ意味が分かるまま音読できることが分るでしょう。そうして、『古今集』→『竹取物語』→『枕草子』→『源氏物語』→『方丈記』→『平家物語』→『徒然草』→『謡曲』→『奥の細道』→『日本永代蔵』→『南総里見八犬伝』→『にごりえ』→『舞姫』→と、現代まで、過去において後の世の人に最も良く音読されたと思われる古典中の古典の中から、その最も良く読まれた冒頭部分を了解音読して参りますと、これまで読み辛いと思っていた文章でも読めるようになっている自分に気づくはずです。本もスラスラ読めるようになって驚くはずです。
日本語の流れを声に出して古代から現代まで体験する。そうして、日本語がはっきりとよく分かり、また、自分でも使いこなせるようになる。言うなれば、日本語を「母国語」にすることができる。私は40年近くの教師体験から、「勉強ができる」「アタマがよい」は、ほとんど「日本語の了解能力が高い」ということに尽きると考えています。考えてみれば、授業も、教科書も、ノートも、試験も、面接も、みな日本語で行われています。もし日本語で良く了解できれば、あらゆる教科で成績が伸びるのです。だから、勉強ができるとは日本語の了解能力が高いこととほぼ比例していると言えるのです。
あらゆる学習の基となる日本語了解能力、そして日本人としてコミュニケーションするための日本語運用能力、これを全ての子どもたちに与えるのがこの音読法です。
私は、今、これほど子どもに与えることを優先すべき国語教育は他にないと思います。